【本要約】知識ゼロからの論語入門
2021/8/19
論語とは?
全体像
孔子の教え = 儒教
老子の教え = 道教
釈迦の教え = 仏教
孔子
釈迦
キリスト
ムハンマド or ソクラテス
孔子
孔子の母の職業は祈祷師である。
祈祷や葬儀などを職業とする集団のことを「儒」という。
孔子は母のもとで「儒」の「礼楽」を学ぶ。
→ 社会的な秩序である礼節を、音楽を通じて人々の心に定着させる。
孔子は、貧困から抜け出すために、学問を身に付けた。
「十有余にして学を志す」
孔子は、聖人ではなく、野心家だった。
孔子の死後、儒教は2つの派閥に分かれる
- 儀礼を重んじる派閥
→ 性悪説の思想へ - 仁と孝を重んじる派閥
※ 孝 ( 孝行 ) = 子の親に対する道徳
→ 性善説の思想へ
歴史
道教
無為自然=自然界と人間界に通じる根源的な道の思想
兼愛=無差別の愛
非攻=反戦平和
法治主義 = 厳格な法を定めて治める。
君主に権力を集中させ富国強兵を目指す。
→ 儒教の思想と対立する。
秦の始皇帝が法治主義であったため、その当時は、儒教は弾圧された。
時代が変わり、漢の武帝では、儒教は国教となる。
日本と儒教
礼を実行するには、規則に縛るのではなく調和・妥協が必要である。
「和を以て貴しとなす」は、日本書紀の17条憲法の一文である。
戦国時代までは、儒教の教えである儒学を学ぶことは、身分の高い人たちの教養だった。
徳川幕府が、統治の手段として儒学を採用したことによって、江戸時代以降に、武士や庶民に、儒学が広く親しまれるようになった。
※正確には儒学の中でも朱子学という分野
宇宙には「理」という絶対的な秩序がある。
人間も同じで年齢や地位による上下関係が秩序である。
上下関係の秩序を守ることで立派な人間になれる。
「論語」は日本人の道徳の基盤となっている。
論語
孔子
「吾れ十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず。五十にして天命を知り、六十にして耳順う。七十にして心の欲する所に従って矩を踰えず」
若い時分は学び、30歳になると、人生の方向性を見定め、40歳になると、人生の方向性を確信する。50歳になると、人生の目的がわかり、60歳になると、何を聞いても素直に受け入れるようになる。70歳になると欲望も落ち着く。
「子は温(おだ)やかにして厲(はげ)し。威にして猛ならず。恭(うやうや)しくして安し。」
孔子は柔和だが激しく、怯まないが厳つくなく、丁寧だが安らかだった。
「夫子の文章は得て聞くべきなり。夫子の性と天道とを言うは、得て聞くべからざるなり」
孔子は、人間の生活については語ったが、普遍の原理原則や運命については語らなかった。
「子、怪力乱神を語らず」
孔子は、道理に背いたこと、理性で説明がつかないようなものについては語らない。
「其の人となりや、発憤(はっぷん)しては食を忘れ、楽んでは以て憂えを忘れ、老いの将(まさ)に至らんとするを知らず」
孔子は、食を忘れるほどに学び、時間を忘れるほどに学びを楽しみ、高齢になってもその様子は変わらなかった。
道理
「朝に道を聞けば、夕にしすとも可なり」
朝、真理を聞いたのなら、夕方に死んでも思い残すことはない。
= 誰も真理なんてわからない。
「之れを知るを知ると為し、知らざるを知らずと為す、是れ知るなり」
知っていることを知っているとし、知らないことを知らないとする、それが、知るということだ。
「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」
学んでいること自体が楽しいという心境になれば、学びは深まっていく。
「学んで思わざれば罔(くら)し。思って学ばざれば殆(あや)うし。」
過去の知識を学んでも自分で思考しなければ身に付かない。現在のことを思考しても、過去の知識を学ばなければ身に付かない。
「君子は博く文を学び、これを約するに礼を以ってすれば、亦た以て畔(そむ)かざるべし」
知識を学んだら、人間関係の中でに活かすことが、学びの本質である。
自己戒心
「子は四を以て教う。文・行・忠・信」
孔子の教え4箇条
・表現の能力
・実践の意欲
・他人に対する思いやり
・人間関係の軸となる信用
「子曰く、剛、毅、木、訥なるは仁に近し」
信用に足る人の4箇条
・信念が堅固である。
・簡単に諦めず粘り強い。
・飾り立てていない。
・発言に重みがある。
「君子は食に飽くを求むることなく、居に安きを求るなし。事に敏(びん)にして言に慎しみ、有動に就いて正す。学を好むと謂うべきのみ。」
飲食は適量にし、安息も適度にして、自分の為すべきことをしっかりと把握する。そして、会話は相手の気持ちを考え慎重にする。
「人の己を知らざる患(うれ)えず、人を知らざるを患うるなり」
自分の評判のうんぬんではない。『世間で評判のよい優秀な人の長所を見つけよう』という意識がないことが問題だ。そんな意識がない自分の未熟さを反省する。
「質、文に勝れば野、文、質に勝れば史、文質彬彬(ひんぴん)として然る後に君子なり」
学識を積み経験を重ねて意欲に満ちていても、世間の習慣に反するような行動に出たり、礼儀を弁えないなら、世間に受け入れられなくなる。
「賢を見ては斉(ひと)しからんことをおもい、不賢を見ては内に自ら省みるなり」
優秀な人に会ったら天才と割り切らずに、目標とし、愚劣な人に会ったら、人の振り見て我が振り直せと、己を省みる。
「能を以って不能にとい、多きを以って寡(すく)なきに問う。有れども無きが若(ごと)く、実てるも虚しきが若(ごと)し。犯さるる校せず。」
自信があっても、周りの人に相談し意見を聞いてみる方がよい。
「四を絶つ。意するなく、必するなく、固なるなく、我なるなし。」
自尊心を制御する。
・自分の意地を通そうとすること。
・必ず決めた通りにしようとすること。
・何かに固執しようとすること。
・自分の我を張ろうとすること。
不満対処
「我は人のこれを我に加うるを欲せざるや、吾れも亦たこれを人に加うるなからんと欲す」
他人にされたくないことは、自分も他人にしないように気を付けなければならない。
「人知らずして憤らず、亦た君子ならずや」
自分を認めてくれない人に対して、不平な言動をしないで自制する。
「己を知るもの莫(な)きを患(うれ)えず、知らるべき無きを患うるなり」
自分の評価を不満に思うのは、世の中が自分の思い通りならないことを理解していないからである。自分に世の中に認められる能力がないことを自覚する。
人間関係
「子、太廟(たいびょう)に入り、事ごとに問う。或るひとの曰わく、孰(たれ)か鄹人(すうひと)の子を礼を知ると謂うや、大廟に入りて、事ごとに問う。子これを聞きて曰わく、是れ礼なり。」
自分が知っていても、人の面子を立てて教えを乞う姿勢が、相手好感を持たせ、人間関係を良くする。
「恭(きょう)にして例なければ労す。慎んで礼なければ葸(おそ)る。勇にして礼なければ乱る。直にして私なければ絞(せま)し」
出世する人間は、必ず事前に根回しをしてから、実行する。
「孔子に語りて曰く、吾が党に直躬(ちょくきゅう)なる者あり。其の父、羊を攘(ぬす)む。而(しこう)して子、これを証せり。孔子曰く、吾が党の直き者は是に異なり。父は子の為に隠し、子は父の為に隠す。直きこと其の中にあり。」
『正直者の息子が父の盗みを証言した』という話を聞いて、孔子は『親子は庇い合うのが人情だ』と言った。規則を破った人を処罰するのは正しいというのは、偽善である。人は人間関係のつながりによって社会を構成して生きている。自分の周りの人たちとの人間関係のつながりを尊重することが、美徳である。
「君子は周して比せず。小人は比して周せず」
人間関係は『親疎の別』である。
親疎の別 … 親しい間柄と親しくない間柄
親しい人も親しくない人も、いろんな人と交流することで、よい人間関係が育まれる。
「徳は孤ならず、必ず隣あり」
謙虚な人柄を築き上げれば、気持ちの通い合う仲間が増える。
「三人行えば、必ず我が師あり。その善き者を択(えら)んでこれに従い、其の善からざる者にしてはこれを改む」
1人でいるより仲間と交われば、互いの長所・短所を手本にできる。
「与(とも)に共に学ぶべきも、未だ与に道を適(ゆ)くべからず。与に道を適くべきも、未だ与に立つべからず。与に立つべきも、未だ与に権るべからず」
友達や会社の同僚との関係も、事態の変化によって、強弱が生まれる。
「子貢、問うて曰く、郷人(きょうじん)皆なこれを好しとせば何如。子曰く、未だ可ならざるなり。郷人皆なこれを悪しとせば何如。予白く、未だ可ならざるなり。郷人の善き者これを好しとし、其の善からざる者これを悪しとするに如かず。」
全員に好評でなく、全員に悪評でもなく、見る人の良し悪しによって評価が分かれるような人の方が信頼できる。全員に好評は、人心収攬の術に長けているから、警戒が必要だ。
ビジネス
「義を見て為さざるは勇なきなり」
やるべき時に引っ込んでいるのは卑怯者である。
「季文子(きぶんし)、三思(さんし)して後に行う。子、これを聞いて曰く、再びすれば斯(こと)に可なり」
慎重は臆病であることが多く、思案が過ぎると事を仕損じる。下手な考え休むに似たり。
「人にして信なくんば、其の可なるを知らざるなり。」
人は周りの信用があってこその存在である。
「君子は信ありて後、其の民を労す」
君子は信用を得てから、民衆を働かせる。
「民は之に由(よ)らしむべく、之を知らしむべからず」
政治方針を説明して了解を得るのは難しいが、信用を得ることはできる。
「君子は義にさとり小人は利にさとる」
君子は人の義を考えるが、小人は利益を考える。
「利を放いままにして行えば、怨みを多くす」
利益を独り占めして配慮を怠ると、怨みを買い、失敗してしまう。三方よしの精神である。
コメント