【本要約】図説 人新世

【本要約】図説 人新世

2021/11/25

人間が文明を持ち、快適さを追求し、経済成長を追求して、地球の環境を改変してきたことによって、地球環境全体のバランスは、崩れてしまっている。

先進国が「心地よいモノに囲まれた快適な生活」を実現していく上で、途上国の環境を破壊している。一方で、途上国も、先進国の「快適な生活」を目指している、という矛盾も、はらんでいる。

人新世 ( ひとしんせ、anthropocene ) の問題は、地球上の経済格差の問題でもある。
※人新世 … 人間と環境との関係の新時代

人類史において、気候変動は最近の現象というわけではない。中世には、世界各地が長い温暖化と寒冷期を経験し、それに伴い、飢饉・疫病・戦争が発生した。

火 〜 そもそもの始まりは、土地を整え、新たな空間をひらき、暖をとり、食糧を調理し、おそらくは敵や悪霊を退治するための手段だった 〜 は、ホモ・サピエンスの覇権への道を開いた魔法だった。現代では、人類そのものが、地球に対しての炎である。

産業革命の時代には、人々は、地球を生命のないモノと捉えていた。生命体と地球は別々の世界であり、地球は資源で、人間の世界を支える基盤と考えられていた。そして、陸と海は、人間が無限に搾取できる資源とエネルギーの宝庫となった。

人新世は、富・社会的地位・人種・ジェンダー・階級を問わず、すべての人に平等に影響を及ぼすのか?

地球に人間社会が存在する限りは、富めるものや特権を持つ者のために、救命ボートは存在するだろう。気候変動が一種の黙示録であるとしたら、それは、普遍的なモノではなく、不均等かつ複合的なモノだ。

言語や文化が成長と共に刷り込まれるのと同じように、社会的・文化的格差は、現世代の人々の生活に刷り込まれ、肉体に取り込まれる。

ジェンダー・人種・社会階級は社会現象でもあり、生物学的現象でもあり、肉体化されて次世代へと再生産されていく。肉体が、遺伝子とは関係なく「生物社会的メモリー ( 記憶装置 ) 」を持っているとしたら、健康・貧困・虐待・トラウマが、そこに記憶される。エピジェネティクスという分野では、染色体の分子レベルでの継世代遺伝が研究されている。継世代遺伝が証明されれば、現在進行形中の人新世が未来の世代に、及ぼす影響を推測できるようになる。

地球の現状と人間の影響の規模に関して、正確な情報を持って意思決定すべきである。しかし、実際には、政治的声明と科学的レポートが対立するジャングルでは、問題の複雑さや説明の多様さから、道に迷ってしまう。専門的な情報と、意図的な虚偽情報にさらされると、人は、騙されてしまう。

戦略的無知
過去の行動に対する責任を避けるために、より広い環境において、未知の要素を動員・捏造・利用する行為 ( リンゼイ・マゴーイ定義 )
  • 戦略的無知は、将来の政治的主導権への支持を生み出すために、攻撃できない形で未知の要素を創作・誇張している。
  • 戦略的無知は、長きに渡って環境を巡る議論の風土病になっている。

戦略的無知のわかりやすい例が、タバコの健康被害をめぐる懸念の黙殺である。科学史学者のロバート・N・プロクターは著書「Golden Holocaust ( 黄金のホロコースト ) 」で、この問題を論じている。プロクターはそれまで秘匿されていた業界文書 〜 いわばタバコ業界のパナマ文書を分析し、タバコ業界による徹底した世論操作 〜 を暴いた。タバコ会社は、資金提供・不正行為・ロビー活動を通じて、がんの危険性の証拠を封じ込めようと画策していた。

古代から地球は生き物と見なされ、人間と大地を隔てる大きな区別はなかった。人間は大地を支配するのではなく、大地に属していた。人間と土地は、一つの存在を構成しており、土地は、補修が必要な拡張した家のようなモノだった。

英語の「個人 ( individual ) 」は、もともとは「分割できない ( indivisible ) 」を意味していた。人間が自らを土地から切り離し始め、土地を自らの存在と不可分の一部ではなく、利用すべき外部の存在物と見なすようになったときこそ、人新世が初めて未来の選択肢の1つとなった瞬間だった。

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