【本要約】最高の体調

【本要約】最高の体調

2021/11/19

・進化論をベースにしたテクニックやアイデア
・ヒトはどう進化してきたのかという原点

不安

不安は記憶力、判断力を奪い、死期を早める。

  • 人類の進化の中で、不安はどんな役割を果たしてきたのか?
  • 不安の存在理由は何なのか?
不安の機能は、アラームである。

まだ、正体が明らかではない生存の危機を察知し、自然に対策を取れるようにアラームを鳴らす。人類にとって、最も重要な機能の一つである。不安がなければ人類は未来の危険になす術がなく、絶滅しただろう。

「 喜び 」や「 楽しさ 」といったポジティブな感情がなくても、すぐに生存の危機には結びつかない。人類の進化においては、ネガティブな感情のほうが役に立ってきた。その証拠に心理学の世界では「 ポジティブな感情よりもネガティブな感情のほうが強度が高い 」という現象が確認されてきた。

ポジティブとネガティブの不均衡は、古代の環境であれば良い方向に、はたらく。不安の質が変わった現代では、アラームが誤作動で鳴りっぱなしになっている。

私たちの不安は、未来の遠さに原因がある。

健康、金銭、住まい。

  • 人類に備わった不安は、あくまで、目の前に迫った危険への対策を促すためのシステムである。
  • 今より未来にある危険に対しては、そもそもプログラムが対応していない。

その結果、アラームが誤作動を起こす。一度こうなると、アラームの誤作動が常態化し、何が不安なのかすらわからなくなる。人体のプログラムエラーが引き起こした副作用である。

不安の歴史

不安に満ちた現代人の時間感覚は、いつから変化したのか?

狩猟採集から農耕への生活の変化が、時間感覚の変化をもたらした。

農耕を効率よく進めるには、長期的なタイムフレームが欠かせない。

秋から初冬にかけて種をまき、変化のない冬を耐えて待ち、ようやく初夏に収穫する……。

1年も先のことを考えて行動する習慣は、それまでの人類にとって全く未知のものであった。ここで、人類は初めて「 遠い未来 」を思い描かねばならなくなる。ところが困ったことに、人類の遺伝子には「 遠い未来 」に対応するシステムが備わっておらず、「 不安 」という短期用のプログラムを駆使しながら、どうにかやりくりしていくしかない。

天体の運行をもとに時計やカレンダーを編み出したのも、システムの不備を補うための発明だったのだろう。

農耕による未来の出現は仮説のひとつである。

文明化していないアフリカ民族には「 未来 」の感覚が存在しない。アフリカ民族の伝統的な観念によれば、時間は『 長い過去 』と『 現在 』とをもつ二次元的な現象であり、事実上「 未来 」を持たない。

西洋人の時間の観念は直線的で、無期限の過去と、現在と、無限の未来とを持っている。

アフリカ民族の考え方には、事実上なじみのないものである。未来は事実上、存在しない。未来の出来事は起こっていないし、実現していないのだから、時間を構成しえない。

確かに、農耕と異なって、狩猟採集では、未来の感覚は薄い。現代でも、狩猟採集の人々は、今、現在に神経を集中する。行動を決めるのは、目の前の獲物であって、またの機会を待つ、あるいは、長期的な戦略に立って意思決定を下すことはない。「 今、ここで 」がメインなので、私たちのように、数年先を思い描くことはないため、未来の感覚が生じない。永遠の現在を生きていれば、遠い未来の不安に悩むことはない。

狩猟採集の人々の世界では、必要なものを分け与えるルールが確立している。そのような状況では、大きな報酬を先まで待つのは逆に危険な戦略だ。狩猟採集の社会には、所有物を公平に分かち合う制度などの要素がよく見られる。これらの現象は、生きるのに必要な資源を手に入れるために生まれた社会的な適応の産物だろう。平等を重んじるシステムを維持することで、狩猟採集民は環境の変化に対応しているのだ。

狩猟採集社会では「 平等 」の価値観が重要視されており、そのようなシステムの中では「 未来の感覚が薄いほうが生存に有利だ 」というわけである。

狩猟採集社会では、未来の概念がないで所有の感覚もなく、モノを分かち合う平等な生活が成り立っている。

未来との距離

既に未来の存在を知ってしまった現代人が、今さら、現在だけのことを考えて生きていくのは難しい。

未来を今に近づける。

実際の時間の流れではなく「 未来の自分と現在の自分の心理的な距離がどれだけ近いか 」を問題にする。

例えば「 5年後の自分を想像してください 」と言われたとき、自分の内面にはどんな感覚が生まれるのか?

・5年後の自分は、今の自分と変わらないぐらいの存在感を持った存在か?
・それとも、全く見知らぬ人のように遠い存在か?

もし前者なら未来との心理的距離は近く、後者なら心理的距離は遠いと考えられる。これは、心理学で「 自己連続性 」と呼ばれる考え方である。

未来との心理的距離が近い者ほど不安に強く、セルフコントロール能力も高い。

( 自己連続性の高さとは ) 「 未来の自分の身になって考えられる 」ということだ。そのため、現在の決定が未来に及ぼす影響を実感できるようになる。

※本書より引用

自己連続性が高まれば、不安は生まれなくなる。
未来を今に近づけるのが、私たちの時間感覚を正す方法である。
なぜ生きるのかを知っている者は、どのように生きることにも耐える。
ニーチェ

人間は、人生から「 価値観 」を問われている。
明確な価値観は、ナチスの迫害すら耐え抜くモチベーションを与えてくれる。

【 価値観が明確な人 】
・健康的な食事
・適度な運動
・高額な収入や資産

価値観に沿って生きるほど、日々の悩みは消え、自然と自分を労る行動が増えていく。不安に立ち向かうには、まず、自分の価値観を見定める。

価値観とは「 自分が人生でどのように行動したいのか 」を問い続けるプロセスである。

価値観は、現在進行形の状態である。

もし既に使いきれないほどの金を手に入れ、理想の仕事に就き、毎日が幸福感に満ち溢れていて、誰からも尊敬されていたとしたら、私はどのように行動するだろうか? 自分や他者との関わり方はどう変わるだろうか?
すべてが満ち足りた状態でも、なお行動せずにはいられない物事こそが、自分の心の底に眠る本当の価値観である。
どこに行こうとしているのかわからないのに、決して遠くまで行けるものではない。
ゲーテ

【 人間が幸福を感じる4つの価値観 】

  1. 自治
    どれだけ人生を自由にコントロールできるかどうか
  2. 多様性
    仕事や人間関係に多彩さがあること
  3. 困難
    人生のタスクに適度な難しさがあること
  4. 貢献
    他者の役に立っているかどうか
自分の行動が他者に良い影響を与えていると確信できたとき、私たちの幸福感は高まる。
  • 価値観によって、曖昧だった未来が今ここに収束し、不安が情熱に変わる。
  • 価値観に沿った行動を取る限り、未来には失敗はありえない。

人間関係

人間の脳は、人間関係をつくることが苦手である。
人間の悩みは全て対人関係の悩みである
アドラー

なぜ、私たちは、かくも他人とのコミュニケーションに悩まされるのか?

それは、もともと、私たちの脳が「 見知らぬ他人とうまく人間関係を作れるように設計されていない 」からである。

人類は数百万年前から小さな集団の中だけで生きてきた。まったくの他人と交流することは滅多になく、周囲には家族か顔見知りしか存在しない。

このような状況で必要なのは、内側に向けた対人スキルだ。家族や友人のように自分に好意を持っている相手との仲さえ深めれば良く、それ以外のコミュニケーションは基本的に不要だ。つまり、私たちの頭には、そもそも外向きのコミュニケーション回路が備わっていない。

一方、人口の流動性が高まった現代では、外部との交流は日常的なことである。それなのに、私たちの頭には外向きのコミュニケーション回路が内蔵されていないため、本来は内向き用に作られたスキルセットだけで、赤の他人と付き合っていかねばならないのだ。これもまた、現代人を苦しめる遺伝のミスマッチのひとつである。

【 オックスフォード大学の調査 】
多くの人は、自分のネットワークに新たな友人が加わると、昔のネットワークとはコンタクトしなくなっていく。「 親密な関係を維持するためには、多大な認知機能と感情の投資が必要になる 」のが大きな原因だろう。

ヒトの認知リソースは、大勢の友人をさばくようにはできていないため「 1回につき5人前後としか親密な人間関係を築けない 」というわけだ。

親密な人間関係を築くために、進化のミスマッチを前提に意識するポイントは、時間・同期・互恵である。

  • 時間 … 一緒に過ごす時間の長さ
    進化の過程から、狩猟採集社会の小さなグループでは、どれだけ顔を合わせたかを、判断できればよい。
    人類の脳は、相手の顔に馴染みさえあれば、反射的に警戒心を、解くように進化してきた。
  • 同期
    同期行動によって集団の結束は高まる。
  • 互恵 … 相手に利益を与える
    人類が生き延びるためには、助け合える仲間が欠かせない。
    助け合うために、私たちは互いの利益になりそうな相手を友人に選ぶように進化してきた。
    私たちが相手に与えられる最強のプレゼントは、信頼である。
相手に「 こいつは絶対に自分を裏切らない 」と感じさせれば、そこには必ず強固な同盟関係が生まる。
彼は人を好きになることが好きだった。だから、人々は彼のことを好きだった
マーク・トウェイン

相手に「 信頼感を抱かせる 」には向こうに好意を伝えるのが第一だが、心理学で重視されているのが「 セルフディスクロージャー 」である。これは、自分の悩みや秘密を隠さずに打ち明ける行為を意味している。相手に対して「 私はあなたのことを信頼しているからここまで話せるのだ 」というシグナルとして働く。

【「 セルフディスクロージャー 」を効果的に行うための話題 】
1. お金と健康に関する心配事
2 .自分がイライラしてしまう、怒ってしまうこと
3 .人生で幸福になれること、楽しいこと
4 .自分が改善したいこと ( 体型、性格、なんらかのスキルなど )
5. 自分の夢や目標、野望など
6 .自分の性生活に関すること
7. 自分の弱点やマイナス面
8 .自分の趣味や興味
9. 恥ずかしかった体験、罪悪感を覚えた体験

【 ストレス対処法 】

私たちは、自分の感情をコントロールし、意図的に影響を与えることができる。自分のストレスをいかに言葉や思考に変換するかで、どんな感情も再構築できる。

仏教

すべての人間は無意識に死への不安を感じており、私たちが選ぶ行動の多くは、その恐怖を解消するために行われる。
人間は、死・悲惨・無知をいやすことができなかったので、自己を幸福にするために、それらを敢えて考えないように工夫した。
プレーズ・パスカル
飲みかつ食べよう、明日には死ぬのだから
聖書

「 死を想え 」は、世界最古のライフハックである。私たちは、いつ訪れるのかもわからない遠い死の予感に対して、無意識の不安を募らせる。

人類の不安に対してのブッダ独自のソリューション
「 すべての欲望はフィクションだ 」と気付きなさい。

人間社会はさまざまな欲望で動かされている。

  • 美味しいものを食べたい
  • ビジネスで成功したい
  • 好きな異性と結ばれたい

いずれも社会を前に進めるためには欠かせないガソリンである。

その一方で、欲望は果てしない不満も生む。

ここでブッダは「 すべての欲望は無だ 」と言い切った。

人類の欲望は遺伝子の生存プログラムに基づいており、周囲の環境に応じて常に変わり続ける。
仏教の無常観
すべては、外部の刺激に対する反応であり、そこから生まれた欲望が、なにか特定の形や永遠の構造を持つことはない。
ブッダは「 自分という存在すらフィクションだ 」と喝破した。
  • もちろん「 今ここで行動をする主体は存在する 」が、結局のところ、私たちは遺伝子を残すために生まれた巨大なシステムの一部でしかない。
  • 「 自分 」とはあくまで環境とのやり取りの中に生じる自然現象のひとつであり、なにも変化しない絶対的な自己は存在しえない。
  • ありもしない自己に執着心を持つからこそ、不安が生まれるのだ。
人間の内にある種の欲望は、常に存在しているのではない。欲望の主体は無常なるものとして存在している。束縛されているものを捨て去ったならば、死の領域は迫ってこないし、さらに次の迷いの生存を受けることもない。
※仏教で言う「 悟り 」の基本的なアイデア

確かに「欲望と自己をフィクションだ」と認識できれば、そこに不安は生まれようがない。なんといっても、死の際に消えてしまうはずの自分がもともと存在すらしないのだから。その意味では「 初期仏教こそが間違いなく究極のソリューションだ 」と言える。

ただし、原始仏教の解決策は一筋縄ではいかない。

ヒトの欲望は遺伝子に書き込まれた基本プログラムであり、ブッダのアドバイスを忠実に実践しようと思えば、私たちの脳のOSを入れ替えるぐらいの作業が必要になるだろう。実際、ブッダも「 すべての欲望から離れるためには出家をするしかない 」と教えており、現代人が日常で実践していくのは不可能である。

ブッダが提唱した具体的なテクニックが、瞑想を使った自己観察である。

① 呼吸のような特定の対象に意識を向ける瞑想をくり返し、集中力を極限まで磨き上げる。
② その集中力を使って、自分の内面をひたすら眺め「 心の中に何が起きているのか 」を観察する。「 自分の思考と感情の変化にリアルタイムで気付く 」作業をくり返す。
③ さまざまな内面の移り変わりを観察するうちに、自分の中に「 いかなる現象も刻一刻とうつろうフィクションに過ぎない 」という確信が生まれ、どのような欲望や感情にも巻き込まれなくなる。

瞑想によって、ブッダの「 悟り 」は達成され、人生の苦しみは消え失せる。

【 マインドフルネスな意識 】
・その時の感情を自覚している
・今の状況に集中できる
・常に自覚的に作業を行う

ブッダが悟りを究極のソリューションとして提示したのは「 そもそも人体が幸福を目指して設計されていないのなら、そのシステムの外に出るしか真の満足を得る道はない 」ということだ。

遊び

狩猟採集社会の人々は、日々の仕事を遊びに近いイメージで捉えている。彼らにとって、遊びと生活はイコールである。

遊びのために生きるのではなく、生きることそのものが遊びである。

現代人でも、遊び心のある人ほど、幸福な人生を送る傾向がある。遊び心とは「 どんな状況でも、楽しさやユーモアを使って解釈できるかどうか 」を意味する。

遊びは、人生のストレスに立ち向かい、ポジティブな感情を引き出す最良のリソースになり得る。

現代人の問題を解決するには、仕事・育児・勉強といった人生のあらゆる面を遊び化していく必要がある。

狩猟採集の人々の世界は「 遊び 」のルールがシンプルな点である。同じ時間に狩りへ出向き、獲物を仕留め、仲間たちと食料を分かち合い、あとは、みんなと歌って踊る。彼らの生活ルールはこれだけで、常に自分が行うタスクがはっきりしている。

  • 私たちの社会環境のルールは逐一変更されていき、キャッチアップするだけでも一苦労である。
  • ルールが整備されていない遊びほど、プレイヤーのモチベーションを下げるものはない。
  • さらに、フィードバックにも即時性がない。

私たちの社会環境は、遊び場として、相応しくないのだ。ルールは人為的で理解が難しく、明確なゴールもなく、即時のフィードバックが少ないせいで未来への不安も増す。こんな状況では遊べない。

遊びのキーワードは、ルール設定とフィードバック化である。
  • 逆算思考
    時間を区切ったり、作業を区切ったりして、未来を刻むことで、未来と現在との心理的な距離を縮める効果を持たせる。区切ってルール化することで、大きなゴールを設定するよりも未来がクリアになり、モチベーションが上がりやすくなる。
  • イフゼンプランニング
    実行の合図 ( if ) と行動 ( then ) をセットにして、実行のタイミングをルール化しておく。
  • 数字によるフィードバック
    低コストで大きなインパクトを持つ。
    フィードバックはいつでも確認できる状態にしておく。

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