【本要約】4行でわかる世界の文明 ( 橋爪大三郎 )

【本要約】4行でわかる世界の文明

2022/2/26

宗教のモデル化

世界は複雑である。
時間は限られている。
世界を知りたい。

一昔前は、本を読んだ。

今は、本が多すぎる。
本を読んでいる時間がない。

情報は当てにならない。
情報では勝負にならない。
情報を配列し、そこから読み解くことのできるひとつのモデルを、持っているかどうか?
資本や技術や情報が移動し、世界がひとつの市場に統合され、情報資本主義の新しい時代が始まった。

宗教は、大勢の人々が同じように考え、同じように行動するための装置である。だから、宗教は文明の基盤になる。

4行モデルは、世俗的なモデルで、異なる文明に属する人々の行動様式の比較が可能だ。どの文明も、同じ課題を解決するために宗教を生み出している。

① モデル化は、単純化の産物であるから、モノゴトの本質を捉えるために、枝葉を切り落としている。
② 切り落とすことを捨象、取り出すことを抽象という。
捨象と抽象によって対象の本質を容易に理解することができる。

キリスト教

キリスト教の人々の行動様式
(0) 法律を守ると、契約して合意した
(1) まず、自己主張する
(2) 相手も自己主張している
(3) このままだと、紛争になる
(4) 法律があるので、解決する

イエスの教え
・神を愛せ
・隣人を愛せ
現実には法律に従う。
「 イエスの教え = 信仰 」と「 法律 」は別でいい。

ユダヤ教

ユダヤ教の人々の行動様式
(1) まず、自己主張する
(2) 相手も自己主張している
(3) このままだと、紛争になる
(4) ユダヤ法があるので、解決する

ユダヤ教の聖典タナハは、神の言葉ではなく、預言者の著作である。

イスラム教

イスラム教の祭典クルアーン ( コーラン ) は、神の言葉である。

イスラム教の人々の行動様式
(1) まず、自己主張する
(2) 相手も自己主張している
(3) このままだと、紛争になる
(4) イスラム法があるので、解決する
  • ユダヤ法は、ユダヤ民族のアイデンティティとなっている。
  • ユダヤ法は人類すべてに当てはまらない。
  • イスラム法は人類すべてに当てはまるはずの普遍的な法律である。

  • イスラム教は、信仰と行動が一致するので教会は存在しない。
    政教一致である。
  • キリスト教は、信仰のために教会が存在し、行動のために世俗の法律がある。
    政教分離である。

キリスト教には法人があるが、イスラム教には法人がない、クルアーンに書いてないからだ。

ヒンズー教

ヒンズー教の人々の行動様式
(1) まず、自己主張する
(2) 相手も自己主張している
(3) このままだと、紛争になる
(4) でも、人々は、別々の法則に従っているので、紛争にならない

人間は生まれながらにして平等ではない、カースト制は身分差別制度である。

人々は輪廻するので、上の者はやがて下に、下の者はやがて上に、生まれ変わるであろう。輪廻の法則の元では、すべての人々は平等である。人々は、来世によりよいカーストに生まれることを願いながら、社会秩序を守って善行を積み、神々を礼拝する。カースト制は保たれる。

人々は [ カースト × 地域のコミュニティ × カースト ] によって定められた職業の中で生活する。その中の法則に従うので、紛争にならない。

仏教

仏教は、アンチカースト制で、カーストの身分によらず、平等である。
仏教の人々の行動様式
(1) まず、自己主張する
(2) 相手も自己主張している
(3) このままだと、紛争になる
(4) 真理があるので、紛争は回避できる

仏教も、ヒンズー教と同様に、この世界をネガティブに捉えている。人々が欲と煩悩に囚われている限り、苦の世界である。しかし、真理を悟るなら、解決する。

儒教

儒教の、権力者 ( 親 ) への服従システムであり、それが、主要産業の農業、家族での農業とマッチした。

儒教の人々の行動様式
(0) 上位の人が、順番を決める
(1) まず、自己主張する
(2) 相手も自己主張している
(3) このままだと、紛争になる
(4) 順番があるので、紛争は回避できる

日本

日本人の行動様式
(1) 自己主張する前に、まず相手の様子を見る
(2) 相手も同じことをしている
(3) このままだと、何も決まらない
(4) そこで、みんなで話し合って、決める。

自己主張すれば、他の人々と横並びでなくなる。自分のことだけを考えて、周りを考えない、無神経な人間だと思われる。

自己主張の結果
① 言い争いは良くない
② 勝ち負けが決まるのも良くない
③ 決着が付かず、険悪な関係になるのも良くない

話し合い
① 反対でなければ、同意と見なす
② みんなが同意すると、どんなことでも決めることができる
③ そして、その決定は、みんなを拘束する

これが日本社会の基本的ルールである。

話し合いで決まったことは、なぜ人々を拘束するのか?

① みんなで話し合いに参加して決定した。
② 自分もその場にいて、同意した。
③ 決定は、自分の意思である。
④ 自分の意思だから、決定に従う。

社会契約説
① 架空の過去に自然状態に置かれた人々が、その悲惨な状態を脱出しようと、協議して契約を結んだ。
② 協議と契約は一度きりで、すべての人々が参加し、その後は、成立した社会状態が継続している。
③ 社会契約は、その後、主権国家と憲法として具体化した。憲法も契約である。
社会契約も憲法も人々の間に、普遍的なルールをもたらす。

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