【本要約】「超」入門失敗の本質

【本要約】「超」入門失敗の本質

2021/4/29

日本軍と現代日本に共通する組織的ジレンマ

失敗の本質は、第二次世界大戦の日本軍の組織論を分析した本である。「なぜ、日本が負けたのか」を国力の差ではなく、作戦や組織による戦い方の視点から解説している。

生死が隣り合わせの極限状態である戦場では、いくつもの想定外の変化を乗り越えてゴールに到達する能力が求められていた。

単純な物量や技術力の差以外の要素に着目する。

日本人の思考と日本の組織特有の弱点が、転換点で露呈する。

  • 日本の組織で繰り返される失敗
  • 失敗の本質が分析した日本軍の敗北

失敗の本質には、日本人論としての重要な側面がある。

変化に直面している会社、過去に成功した組織が、次の失敗を避け、新たなイノベーションを、成し遂げる方法を明らかにする。

日本人の特徴

  1. 戦略性の弱さ
    → 戦術・主義を超えるモノ
    大きく考えることが苦手である。
    俯瞰的な視点から目的の道筋を作り上げることに失敗しがちである。
  2. 思考法
    → 鍛錬と改善からの脱却
    イノベーションが苦手である。
    練習が得意である。
  3. イノベーション
    → 既存の指標を覆す視点
    自分達でルールを作り出すことができない。
    既存のルールを習熟することを目指してまう。
  4. 型の伝承
    → 創造的な組織文化
    創造ではなく方法に依存する。
    日本の文化と組織意識の中には、イノベーションを潰してしまう要素がある。
  5. 組織運営
    → 勝利につながる現場活用
    組織の上層部と現場を結び付ける。
  6. リーダーシップ
    → 環境変化に対応するリーダーの役割
    リーダーが、正しい方向性に組織を引っ張り、環境変化を乗り越える。
  7. メンタリティ
    → 空気への対応とリスク管理
    空気の存在
    厳しい現実から目を背ける危険な思考への集団感染
    リスク管理の誤解

時代の転換点は、連なる変化が終わる時である。

戦略性の弱さ

日本人は、戦略的に物事を考えることが苦手である。戦略が明確であれば、目標達成を加速する効果を生む。逆に、戦略が曖昧なら、混乱を生む。

目的達成につながらない行動や努力は、意味がない。目的達成につながる行動や努力を選別しなければならない。それが戦略である。

戦略を実現する方法が戦術である。優れた戦術でも、目的達成につながらなければ意味がない。戦略の失敗は、戦術で補えない。

戦略 = 追いかける指標

指標の設定力こそが、最重要である。戦略として追いかける指標の有効性を吟味せず、同じ行動を取り続けてはならない。なぜならば、時代や環境の変化によって、優位性を失ってしまうからだ。

インテル
性能ではなく、活用のしやすさ(市場のデフォルトスタンダード)を指標とした。
ホンダ
アメリカで、大型バイク市場で勝負にならない中、偶然、小型バイク市場に気付いた。体験学習で、新戦略を察知した。追いかける指標が先にあったのではなく、体験的学習の積み重ねによる体得(偶然の発見)が、生み出した成功である。

日本人は、偶然、新戦略を発見する技能に優れている。歴史上証明されていることは、日本人は、「必ずしも戦略が先になくとも、成功することができる」ということだ。

日本人が一点突破・全面展開という流れを取るのは、体験的学習による察知で、成功する戦略を発見しているからだ。

事実の積み重ねによる体験学習の弱点は、成功した定義が曖昧なため、適用範囲の判断が難しい。結果として、過去の成功事例にすがってしまうことである。

分析によって、指標を発見することで、成功につながる効果的な戦略を選択できる。そして、戦略があることで再現性や、継続性がある。

体験的学習が追いつかない形で、戦略が切り替わる時代に変化した。

マイクロソフトの戦略
・ソフトの互換性 … どんなソフトでも、コンピュータで使用できる
・ネットワーク効果 … ネットワークに接続している人の数が多ければ多いほど、ネットワークの価値は増す
 
これらは、製品自体の性能の問題ではない。製品の外に、戦略を作り、新しい指標とした。互換性とネットワーク効果を利用したビジネスモデルは、プラットフォーム戦略と呼ばれる。

思考法

ゲームのルールを変えたものだけが成功する。

日本人は、鍛錬の文化と精神を持ち、特定の分野で強みを発揮できる。鍛錬によって達人的な技能を身に付ける戦略である。しかし、それで、得られるのは、属人的な成功である。

一方で、アメリカ人は、達人を不要とするシステムを考案した。属人的な技能によらない戦術を考案した。ゲームのルールを変えた。

日本人は、一つのアイデアを、洗練させていくことが得意である。小さな改善・改良を連続的に行うことで、既存の延長線にある成果を挙げる。

日本人の弱点
・前提条件が崩れると、新しい戦略を策定できない。
・新しい概念を創造して活用するという学習法がない。
・異質性や、異端を排除しようとする集団文化がある。

日本は、モノづくり大国として、高い生産性、高品質を武器に、世界市場を席巻した。現在では、製品単体の性能ではなく、ビジネスモデル戦略で失敗している。

  • ゲームの習熟・改善では、イノベーションは起きない。
  • ゲームのルール自体を変えるような変化によって、イノベーションは起きる。

自己革新

  • ヒトの極めて柔軟な活用
  • 新技術の開発
  • 新技術の運用

問題解決のプロセス

  • シングルループ学習
    「目標や問題の基本構造に変化はない」と考えて改善手法を検討する。
  • ダブルループ学習
    「想定した目標と問題自体が変化しているのではないか」という疑問を含めて検討する。

イノベーション

  • 既存の指標の発見
  • 敵の指標の無効化
  • 新たな指標での戦闘

ソフトの互換性、ネットワーク効果は、ソフトウェアという特殊な製品が登場する以前には、具現化されなかった指標である。

スティーブ・ジョブスのイノベーション

  1. 従来の市場を支配する既存指標を徹底的に分析した。
  2. 既存指標を無効化する新たな指標を持つ製品を市場に投入した。
  3. プラットフォーム化し、技術競争・価格競争からは、一線を引いた。

イノベーションのために

  • 現時点で支配的に浸透している指標を見抜く
  • 対象の中に隠れて存在する指標を発見する
  • 指標を戦略として活用する

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