【本要約】自由からの逃走

【本要約】自由からの逃走

2021/9/11

もし私が、私のために存在しているのでないとすれば、誰が私のために存在するのであろうか。
もし私が、ただ私のためにだけ存在するのであれば私とはなにものであろうか。
もし、今を尊ばないならば、いつというときがあろうか。
〜 タルムード
我々は、汝を天上のものでもなく、死すべきものでも不死のものでもない存在として創造した。それは、汝が自分の意思と名誉に従って、自由に、汝自身の創造者であり形成者であることができるようにである。我々は汝だけに自分の自由意志による成長と発展を与えた。汝は自らのうちに宇宙的生命の胚珠を持っている。
〜 人間の尊敬について
人間に内在する不可侵の権利ほどに不変なものはない。
〜 トーマス・ジェファースン

序章

近代人の性格について、その心理や社会との関わりというテーマの中でも、自由について論じる。

社会の実体は個人であり、個人の本能や欲望、感情と理性、善悪への判断の集合である。

  1. 社会の理解には、個人の理解、個人の心理の理解が必要である。
  2. 個人の心理の理解には、個人を形成してきた文化の理解が必要である。

近代人は、安定と束縛を与える社会からは自由になったが、個人的自我の実現という意味においての自由は満たされていない。

※個人的自我
自分の知的欲求・感情・感覚に従って、ナニモノにも捉われずに、積極的に行動し自由に生きること。
自由は、個人に独立と個性を与える、一方で、個人を不安に陥れ、孤独感と無力感を与える。

【個人の向かう二つの方向性】

  • 孤独感や無力感に耐えられず、自由の重荷から逃れて、新しい依存と従属を求める。
  • 独自性と個性に基づいた自由を積極的に進める。

自由

【人間の根源的な本能:自己保存】

  • 生理的欲求
    飢え・渇き・眠り
  • 帰属的欲求
    社会的孤立・精神的孤独を避け集団に所属

人間は他人と協力なしに生きることはできない。人間は、生まれたときから、親の庇護のもとで育ち、周りの人間と関わることで成長してきた。それは、世界中のどんな文化圏であっても変わらない。

・自由とは、個人の属性・特徴によるモノである。
・自由とは、個人の意識の強度によるモノである。
  1. 個人が、自分をどのくらい独立した存在として意識しているかである。
  2. 個人の意識は、周囲の人間たちから分離した存在として、自己の知覚である。
  3. 自己の知覚する過程:意識 → 自覚 → 個性

個人は、周囲の世界と分離した存在としての自覚を持ちながらも、周囲の世界の一部であるとも感じている。個性化とは、周囲の世界から脱出していく過程である。

自由からの逃走

自由の二面性

自由は、個人に、「独立」と同時に、「孤独」や「孤立」という感情をもたらし「疑心」や「不安」という感情を生んだ。自由が個人に与えた感情は「新しい服従」と「強制的な非合理的な活動」へ駆り立てることになった。

「孤独」や「無力感」から逃れようとするとき、人間は、新しい権威に従属したり、既成の行動様式に強制的に順応したりする。それによって、個人的自我から脱出する。

逃避のメカニズム

逃避は、権威性・破壊性・機械的画一性の3分類の4種類の人間によって説明される。

【権威性】

  • 劣等感・無力感・個人の無意味さの感情によって、権威を称え、服従しようとする人間
  • 孤独感と無力感から逃れるために、自ら権威となって、他者を服従させようとする人間

【破壊性】

  • 孤独感と無力感を与える自らや他者を破壊する人間

【機械的画一性】

  • 孤独感や無力感を克服するために、個人が自分自身であることをやめ、自動機械となってしまう人間

自己

  • 本来の自己
    精神的な活動の創造する自己
  • 偽の自己
    他人から期待されている役割を演じている自己

本来の自己として行動しているつもりだが、実際には、本来の自己は、偽の自己によって完全に抑圧されている。

本来の自己と偽の自己の代替は、自己同一性を喪失し不安や恐怖を生む。この感情を克服するために、順応を強いられ、他人に承認されることで、自己同一性を求める。

本来の自己と偽の自己の代替によって、個人は自動機械となり、民衆の無力感と不安は増大した。そのため、意欲と安定を与え、救ってくれるような新しい権威に従属しようとしている。

自由の獲得

自発的活動

【自発的活動】

  • 自由の成長する過程が悪循環とならないこと
  • 人間は、自由でありながら孤独ではなく、批判的でありながら懐疑に満たされず、独立していながら人類全体を公平する部分として存在できること

自発的な活動は、自我の自由な活動である。

・自我
自らの自由意志
・活動
人間の感情的・知的・感覚的な諸経験のうち、本人の自発的な行為

※消極的な自由は、個人を孤独にし、個人と世界の関係は、疎遠で信頼できないものになる。

  1. 自発的な活動は、人間が、自我を犠牲にすることなしに、孤独を克服する道である。
  2. 人間は、自発的な活動において、自分自身を、新しく外界に、人間・自然・自分に結びつける。
    自分と外界とは、構成された一つの全体の一部分となる。
  3. 正当な地位を獲得し、自分自身や人生の意味についての疑いが消滅する。
  4. 自分自身を活動的・創造的な個人と感じ、人生の意味がただ一つであるを見つける。
    人生の意味は生きる行為そのものであることを理解する。
・自由とは、人間の自発的な活動によって、瞬間ごとに獲得される安定である。
・自由とは、個人の独自性を発揮した積極的な自我の実現である。
・自由とは、どのような力にも服従しないことである。
・積極的な自由は、能動的・自発的に生きる能力を含めた、個人の諸能力によって実現可能である。

仕事

仕事という根本的な活動によって、個人の実際の自由・創意・自発性を強めることにができる。

自由の実現は、個人が「自分の生活および社会の生活に積極的に参加しているかどうか?」これが「形式的な行為ではなくて、日々の活動において、仕事において、他人に対する関係においても、なされているかどうか?」である。

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