裁判傍聴 〜 カナヅチで人を殴った原因はファブリーズ

裁判傍聴

2021/6/24

事件概要

  1. Aは錦糸公園でBと出会う。
  2. Aは、Bが関西から来て、ホームレスで、仕事がないことを知る。
  3. Aは、Bに自分の会社を紹介する。
  4. 同じ会社の寮で、AとBは共同生活を送ることになる。

事件が起こる。

酒に酔ったAが、Bをカナヅチで殴る。
Aは、カナヅチで、Bの頭を、5〜6発殴った。
Bは、頭蓋骨陥没骨折、頭部挫傷である。

AとBに争いがあったわけではない。

Aが、いきなり、Bの部屋に侵入して、寝ているBをカナヅチで、殴ったのだ。

ファブリーズ

なぜ、A加害者は、B被害者を、殴ったのか?
いきなり、カナヅチで人を殴るのには、理由が必要だ。

ファブリーズである。

ファブリーズ?

ファブリーズ??

ファブリーズ???

ファブリーズ???

事件の火種

事件を整理していく。

前提
トイレでのファブリーズは、消臭スプレーとしての役割と考えれば、何らおかしなことはない。
  1. A加害者は、共同生活の部屋のトイレに、” B被害者がファブリーズをした “ と勘違いした。
  2. A加害者は、「トイレにファブリーズをするな」と、B被害者に注意した。
  3. B被害者は、「トイレでファブリーズをしてない」と、A加害者に答えた。
  4. ” B被害者が、トイレでファブリーズをした “ と信じて疑わなかったA加害者は、酒に酔って、B被害者をカナヅチで殴った。

ファブリーズの真相

なるほど、そういう訳か!

となる?

ならないよね?

事件後、病院で検査が行われた。
A加害者は、精神疾患を患っていた。
A加害者の病名は、妄想型統合失調症である。

なるほど、そうか!
よくわかったってならないよね?

A加害者は、自分が精神障害者であることを、今回、はじめて知った。
だから、日常的に薬を飲んでいたわけでない。

A加害者は、親兄弟などの家族との縁は切れている。親しい友人もいない。
人間関係は、職場のみ。
「職場は、お金を稼ぐだけの場所だ」と言っていた。
多分、妻子もいないだろう。

人間関係の軽薄さによって、その病気が可視化されることはなかった。

今回の傷害事件によって、病院で検査が行われ、はじめて病気と診断された。

A加害者の発言

現在58歳で、20歳の頃から、人から攻撃を受けている。

そして、40歳の頃くらいから、ファブリーズの攻撃を受けてきた。

ファブリーズの攻撃
枕やシーツにファブリーズをかけられること

これまでは、ファブリーズの攻撃を我慢して、時には逃げていた。

そして、今、勾留施設でも、ファブリーズの攻撃を受けている。でも、どうしようもないので、その攻撃に耐えている。

所感

裁判所という世界でしか、触れることができない価値観である。

日常において、こんな個性に触れることはない。

世の中には、いろんな人がいる。

私達が関わっているのは、そのほんの一部でしかない。そして、私達が関わっている人々は、自分と近い年代であり、自分と近い価値観を持つ人々である。

だから、私達は、「自分の周りの環境が世界の全てだ」と、勘違いをしてしまう。

裁判傍聴することで、「自分がいかに狭い世界の小さな価値観の中で生きているか」を確認することができる。

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