【本要約】幸福の資本論4 〜 人的資本
2021/6/9

お金持ちになる方法
お金持ちになるには、3つの方法しかない
- 収入を増やす
- 支出を減らす
- 資産を運用する
お金持ちにケチが多いのは、事実である。それは、倹約しなければお金は貯まらないからである。
倹約のルールはたった1つだ。
同じ結果を得られるのなら、安ければ安いほどいい。
グリーン車やファーストクラスでも、到着時間は変わらない。しかし、1番安い卵の店を探したりはしない。
コストパフォーマンスに敏感であり、経済的不合理なことはしない。経済合理的に行動すれば、努力しなくても自然と倹約できる。
多くのお金持ちが地道に富を積み上げていった。
投資家が金融資本を金融市場に投資して利益を得るのと同じように、労働者は自らの人的資本を労働市場に投資して収入を得る。
金融投資
- 利益は大きければ大きいほどいい
- 同じ利益ならリスクは小さい方がいい
人的資本投資
- 収入は多ければ多い方がいい
- 同じ収入なら安定していた方がいい
同じ収入なら、あるいは少ないとしても、自己実現できる仕事がいい。
仕事≠ 自己実現
仕事で自己実現という幻想
自己実現は、マズローが提唱した人間にとってもっとも高次な欲求である。
自己実現は、社会資本と密接に関係している。それは、人が社会性の生き物であるからだ。
自己実現を、「かけがえのない自分になること」と定義する。
お金の実体は紙切れであり、金融機関に格納された電子データに過ぎない。
しかし、人がその紙切れや電子データに価値があると思えば、幻想は実体化する。お金は幻想であるが、人に共有されて共同幻想になると、現実化する。人は、幻想に、魅了される。
今は、「仕事を通じて自己実現することが人生の目的だ」と教育される。そして、その価値観は、共同幻想となり、現実化する。人は、自己実現した人に、魅了される。
- 人的資本からより多くの富を手に入れる
- 人的資本を使って自己実現する
サラリーマンという生き方
サラリーマンは、仕事で、自己実現を目指してはいけない。
会社が求めているのは、社員の「能力」ではなく、「組織の中で働けるか」だからだ。
「目立った能力や特別な資格を持つ人材を採りたいとは思わない」というのが、大手企業の採用担当者の意見である。
働くために生きているのか、わからなくなってからが人生である。
新しい働き方
仕事で、自己実現はできない。では、どのように働くのがいいのか?
【新しい働き方】
- 知識社会化
- リベラル化
- グローバル化
知識ビジネスでは、イノベーションは、極めて高い知能を持った人間にしか生み出せない。シリコンバレー型のリベラルとは、普遍的な人権を前提として、グローバル市場から能力=知能のみで労働者を選別・採用する。そこから生み出された商品やサービスをグローバル市場に平等に提供するビジネスモデルのことである。
企業であれ、個人であれ、知識社会に適応できなければ脱落するだけだ。
【働き方の価値観】
- 労働
- キャリア
- 天職
労働
- 仕事は、本質的に必要悪であり、対価を得るためである。
仕事以外の時間を楽しむ。
キャリア
- 仕事は、自己成長のためである。
仕事と人生を一体化しようとまでは考えていない。より多くの収入や社会的ステイタスを得たいから、時間とエネルギーをキャリアアップに注ぐ。
天職
- 自分の仕事に充実感や社会的意義を見出し、金銭的な見返りや出世のためではなく、楽しいから働いている。
仕事と人生を切り離すことができず、生涯現役と考える。
やってもできない
たくさんあるものは価値が低く、少ししかないものは価値が高い。
- 人は自分が得意なことを好きになる。
- 人は好きなことしか熱中できない。
人類は進化の中で、同年代の男や女のライバルと自分を差別化してきた。目立つことや他者から評価されることで、ライバルを押しのけて、異性を獲得し、子孫を残してきた。
- 得意なことは楽しいから、好きになる。
- 好きだから得意だし、得意だから好きなのだ。
- 好きなことと得意なことが、同化していく。
- それ以外のことは、やってもできない。
仕事 ≠ 自己実現の新戦略
自然界のニッチ戦略
ニッチがあれば、必ず、それを埋める者が現れる。
- ナマケモノは、徹底的に動かないことで、肉食獣から身を隠し、エネルギー消費を限界まで少なくする。また、毒のある木の葉を食べることで、餌を探すコストを下げている。
- 地上にも、水中にもたくさんの生き物がいて、自分だけのニッチを見つけることは、容易ではない。すると、アメンボのように、水の上に浮かんで暮らす戦略の生き物が現れる。
このように、自然界ではすべての生き物がオンリーワンであり、なおかつ、ナンバーワンである。逆に、現存する生き物は、昆虫や微生物も含め、長い進化の歴史の中で、自分だけのニッチを探して当てた。そうでない生き物は、全て滅んでしまった。
自然界における生き物の戦略を、ビジネス戦略として展開する。
ビジネスでのニッチ戦略
生き物には40億年の長い進化の歴史がある。それは、ナンバーワンを競う歴史であった。そして、その中で、人間の知能で考えつくような戦略は、すべて試されている。
【自分だけのニッチ3選】
- 小さな土俵で勝負する。
強者には侵略できるニッチに小ささという物理的限界がある。
大企業がアクセスできないほど、規模を縮小する。 - 複雑さを味方につける。
ルールがシンプルなゲームは強者に有利になる。
大企業が得意な大量生産に適さない異なる仕様の商品を流通させる。 - 変化を好む。
時間軸の複雑さ、予測の困難さの中に身を置く。
環境が厳しく変化が予測不能なほど、ライバルが少なくなる。
フリーエージェント戦略
世の中に会社があるのは、分業した方が効率がいいからだ。私達が生きている社会は、株式会社を中心とする高度な分業システムによって、支えられている。
会社による分業は効率的であるが、それが市場の効率性を下回るときがある。あらゆる取引には、モノの価格以外の様々なコストがかかる。この取引コストによって、会社で内製化するより、外注した方が、低コストになることがある。
会社においては、標準化はコスト減、カスタマイズはコスト増を招く。
大企業は、社員の個性を徹底的に抑圧し、ロボットのように動かすことによって機能する。一方で、管理主義と革新性はトレードオフであるから、大企業から、イノベーションは起こらない。
イノベーションは、アウトソーシングされているのが、現状だ。大企業は、イノベーションを放棄して、ベンチャー企業に投資し、成果が出れば、買収しようとする。ベンチャー企業のエグジット戦略も、上場から、事業売却へと変化した。
知識社会化によって、高度で特殊なコンテンツが要求されるようになった。プロフェッショナルな個人が、組織に対して優位性を持つ時代が到来した。
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