『日本人の9割が知らない遺伝の真実』要約~遺伝と収入の関係

『日本人の9割が知らない遺伝の真実』要約~遺伝と収入の関係

2020/10/19

著者の主張
人は幸福になるようにデザインされているわけではないけど、遺伝的才能を生かす道がこの社会に存在するから、現実には幸福を感じて生きている人もたくさんいる。
まとめ
行動遺伝学では、双生児や養子のデータに基づいて分析を行い、遺伝以外の影響は、環境であるとする。環境には2種類あり、共有環境と、非共有環境である。共有環境は、” 親の影響がある家庭環境 “ であり、非共有環境は、” 家庭以外の環境 “ である。子どもは、『遺伝』『共有環境』『非共有環境』の影響を受けて成長する。
性格や知能や運動能力は、『遺伝』の影響が約50%であり、『非共有環境』の影響が約50%であるから、『共有環境』の影響はほとんどない。つまり、『共有環境』を作る親の子育ては、子どもの成長にあまり影響を与えていない。
また、収入の『遺伝』の影響は30%前後で、『非共有環境』の影響は70%前後である。
『日本人の9割が知らない遺伝の真実』安藤寿康著)より、引用

性格

性格は遺伝50%である。

<性格の5要素>

  • 経験への開放性、好奇心の強さ
  • 勤勉さ
  • 外向性
  • 協調性
  • 情緒不安定性

学問と知能

知能は遺伝50%である。

<心理学による知能>

問題解決能力、観察した事柄から法則性を抽出し、それを別の事柄に適用する論理的な能力である。

<脳科学による知能>

脳は、知能を司る特定部位があるわけではなく、脳全体が、知能に関わっている。

頭頂葉と前頭葉が同期して働いている人ほどIQが高い。これは、脳の異なる部位のネットワークこそが、知能の本質 であることを示している。

親と遺伝

iQや外国語の才能や物質依存(アルコール、喫煙)は、共有環境に影響しているが、個人の大部分は、『非共有環境』で成り立っている。『非共有環境』は、その時点しか効いておらず、別の時点では同じ形質でも、別の種類の『非共有環境』が関わっている。環境の影響で一番大きいのは、「いま、ここで」である。

『共有環境』を作る親の家庭におけるの 子育てのやりかたは、子どもがどう育つかにあまり影響を与えていない と考えられる。遺伝は、個々人の形質に多数の遺伝子が関わってくるので、親と全く同じ特徴を持った子どもが生まれることは、稀である。

収入と遺伝

収入の『遺伝』の影響は30%前後 で、残りは、『非共有環境』だという研究結果がある。
収入のおける、『環境』と『遺伝』の関係は、人間は年齢とともに経験を重ねていくから、『環境』の影響が大きくなり、『遺伝』の影響が小さくなりそうだが、実際は逆である。
人間は年齢を重ねて、様々な『環境』に適応し、『遺伝』的な素質が引き出されていくので、収入における、『環境』と『遺伝』の関係は、『環境』の影響が小さくなり、『遺伝』の影響が大きくなる。

天才

統合失調症が、ただ不適応なだけならば、進化の過程で淘汰されてしまったはずである。
しかし、淘汰されていないのは、この遺伝子が、別の遺伝子と組み合わさると何か有利な働きをするのかもしれないからだ。天才と言われる人の中に、この疾患を持っていると思われる人がいる。

天才は、『自分が、この先、どこに辿り着き、そのために、何がすべきか』が見えていて、そのために必要な努力や、工夫をして成し遂げる。
天才でなくとも、『自分にはわかる、できる』という感覚を持つ人もいる。
こうした感覚は、自分が生まれ持っている『遺伝』と『環境』が出会ったときに生じるのかもしれない。

環境と遺伝子

人間の持っている能力には、遺伝子が関係しており、自分自身を『環境』に適応させようとする。『環境』が変化すれば、適応の仕方も変わってくる。逆に、同じ『環境』でも、遺伝子が異なれば、異なる適応の仕方をする。

人間の繋がり

人間は平均150人程度の集団であればお互いにリアルに認識し合うことができ、安定したコミュニティを築くことができる。

しかし、SNSの登場によって、世界中のたくさんの人々とバーチャルにつながれる。生物としての認知限界を超えたつながりを不安に感じ、同質な人々と安定した関係を築き、異質な人々を排除しようとする人も現れる。(芸能人の不倫を匿名でディスる人)

その一方で、世界中に拡大したつながりに順応し、能力を向上させる人も現れる。ネット上の情報を集めて、論理的に推論を行い、仮説を立て、世界中の人々が好むコンテンツを提供する。(それにより、莫大な富を築く人)

子どもと教育

子どもの脳は、12歳で大人と同等になるので、子どもから大人への移り変わり転換点は、12歳である。

人間は第二次性徴期までは、脳の発達にエネルギーを振り向け、脳がある程度完成したところで、身体にエネルギーを向ける。

教育の意味も、この時期をさかいに変わることになる。12、13歳くらいまでの小学校の教育の目的は、『子どもを大人にすること』であり、中学生以降の教育の目的は、『大人として社会にどう適応させるか』となる。

適応進化

年を取って生殖能力をなくしたら、たいていの動物は死んでいくが、人間は生殖能力をなくしてからも長く生き続ける。これは近代医療によって寿命が延びたからではない。

人間の脳は他の動物に比べて格段に大きいため、胎内で成長しきってから生まれることができない。だから、人間は、自分では何もできない存在として生まれ、他者の助けを借りて成長していくという適応戦略を取った。生殖能力を失ってからも生き続けた老人が、下の世代の面倒を見ることが、適応進化だったと考えられる。

そういった適応進化をしてきたにも関わらず、現代社会は、老人との交流がないだけでなく、様々な学年の子どもたちとの交流もなく、進化の過程において不自然である。

知識欲

知識欲も、食欲や性欲と同様の欲求である。頻度や強度、内容は人によって違うが、誰にでも知識欲は備わっている。

何かをおもしろいと感じ、もっと知りたいという欲求、その知によって理想を実現したいという欲求、そういった知識欲によって、人間の文明は成り立っている。

自分が遺伝的に持っている素質を活かせる『環境』を探す。そして、自分の「好き」や「得意」や「こだわり」を環境の中で発揮し、他人にささやかな幸福を与えながら、ちゃんとお金を稼いで生きてることを、幸福というのではないか?

 

『日本人の9割が知らない遺伝の真実』安藤寿康著

感想

「言ってはいけない」橘玲著)を読んで、悲観していた人にとって、少し救われる内容である。性格や知能や運動能力は、『遺伝』の影響が約50%であり、『非共有環境』の影響が約50%であり、『共有環境』の影響はほとんどない。身長や体重や病気など、一部、『遺伝』の影響がほとんどで決まる性質はある。一方、『遺伝』の影響が、50%を超えてしまうと、親のせいにしたくなるから、50%くらいがちょうどいいのかもしれない。「50%は『遺伝』で決まってるから、どうしようもない」と考えるか。「50%は自分で切り開ける」と考えるかの違いでしかない。そして、収入は、自分で70%の決定権があるのだから、資産家の親の元に生まれなくても、なんとかなるということだ。

要約していないが、著者の教育へのディスりっぷりが、すさまじかった。本を書き慣れてないような人は、本質とは、ずれた、自分の主張をダラダラと書きがちなので、そう言った本の後半は斜め読みで十分だなと。

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