【本要約】ホッブズ 〜 リヴァイアサンの哲学者

【本要約】ホッブズ 〜 リヴァイアサンの哲学者

2022/3/16

ホッブズ ( 1588 – 1679 )
史上初の市民革命であるイギリスのピューリタン革命期 ( 1640 – 60 ) に、人間にとっての最高の価値は、生命の安全 = 自己保存であり、この確保のために、平和が最優先されるべきだと主張した。
キリスト教神学のトマス・アクィナス ( 1225 – 74 )
『 神学大全 』神の名の下で保障される自己保存のことである。

ホッブズは、政治の主体は、人間 ( 個人 ) であり、生命の安全も、平和の確保も、人間中心だと捉えた。

ホッブズは、自己保存から「 政治社会や国家は人間が作る 」という社会契約論を構築した。
  1. 人間は、生来、自由で平等な存在であり、普段は平和な自然状態に住んでいるが、そこには、まだ、国家も法律も存在しない。
  2. 危機状態になると、人間は生きるために、闘争状態を引きこす。
    これでは、人間は自然状態に持っている、生きる権利を全うできない。
  3. それゆえ、各人が自然権を放棄して ( 闘争の武器を捨て )、社会契約を結び、一般意志 = 人民主権を作る。
  4. 社会契約に参加した全員の多数決によって代表を選出する。
    この時点で国家成立となる。

市民革命によって、近代民主国家が生誕した時代を経験したホッブズによって、人間 ( 個人 ) を基本単位とした政治学体系を構想できた。

プーフェンドルフは、ホッブズの国家設立の前提としていた「 自己保存 」に「 所有権の安全 」という問題を加えている。即ち、自然状態では自然法によって私有財産が獲得されるが、やがて、私有財産を巡る争いが起こるので、人々は契約を結んで、共同社会を設けた。

これが、ロックへ受け継がれた。
ロックは、所有権の発生に労働の概念を用いた。

  • ホッブズの主権者は契約者全員の中から多数決で選出される。
  • プーフェンドルフは、契約によって共同社会をつくり、主権者 = 権力者と共同社会構成員との間で契約するという直接契約と統治契約の合わせ技である。

ホッブズやロックは、自己保存や財産を保障する問題を解決に追われ、不平等の問題にまで至らなかった。

ルソーが生きたフランス社会的は、封建的絶対的主義からの政治的抑圧と、初期資本主義から発生した経済的矛盾に苦しんでいた。ルソーは人間不平等起源論を書き、少数の裕福な者が「 多数の貧困者を集めて物を作らせる 」と金儲けができると気付いたときに、不平等が始まったとしている。この不平等を解決するために、社会契約論を構想し、ルソーは、すべての人間が社会契約によって、政治社会を作ることに参加する=人民主権を提起した。

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