【脳科学】【行動経済学】人間の不合理性の証明

脳科学

人間の不合理性の証明

2020/9/8

人は何かを得るときよりも何かを失うときの方に強く反応する

損失回避性
人は負の選択をするときには、リスクを追求する傾向があり、正の選択をするときにはリスクを回避する傾向にある。

簡単な計算で、合理的に判断できるのに、直観的に、不合理な選択をする。

人は儲け話よりも損をする話の時の方が敏感であり、10万円得するときの満足度よりも10万円損するときの不満足度の方が大きいということだ。

数字上は、+10万円、‐10万円だが、
感情をポイントで表すと、+10万、‐15万、人によっては、‐20万かもしれない。

人は、自分はそんなことはないと思う。
他の人はそうかもしれないけど、自分だけは合理的であると信じている。

<簡単な実験を試してみよう>

例えば、
次の2つのケースについて、それぞれどちらかを選ぶ。

〈ケース1〉
人は得をする場合に、次のいずれを選ぶか?
(A)確実に8万円をもらえる。
(B)85%の確率で10万円もらえるが、15%の確率で何も得られない。
〈ケース2〉
人は損をする場合に、次のいずれを選ぶか?
(a)確実に8万円失う。
(b)85%の確率で10万円を失うが、15%の確率で何も損しない。

この実験では、

得をする〈ケース1〉の場合では、多くの人が(A)を選択し、
損をする〈ケース2〉の場合には多くの人が(b)を選択するという。

数学的には、まったく逆の選択である。
計算してみよう。

<ケース1>の(B)の期待値は+8.5万円なので、数学的には、” (A)確実に8万円もらえる ” より(B)を選択する方が合理的である。
<ケース2>の(b)の期待値は-8.5万円なので、数学的には、” (a)確実に8万円失う ” を選択する方が合理的である。

現実的には、人は、得をするかもしれないときにはリスクを回避して堅実に稼ぎ、損をするかもしれない場合はリスクを取ってでも損をしないようにしようと行動する。
それが不合理だと理解していても。

100万円の屋根付き車庫を買うわけ

感応度逓減
得をするときでも、損をするときでも、人は自分の持っている価値基準から離れるほど僅かな変化に対する価値観の変化は小さくなる。

例えば、財布に1000円しか入っていないときに100円得する価値と、財布に10万円入っているときに100円得する価値は、感覚的に異なる。
逆に、1000円の借金が1100円の借金になると借金が増えたと感じるが、10万円の借金が10万100円になっても、あまり変わらない感覚を持つ。

住宅や車など、大きな金額の買い物をするときには注意が必要だ。

5000万円の住宅を購入するときに、100万円の屋根付き車庫を、ついでに、気軽に付けてしまう。
300万円の車を購入するときに、30万円の純正ナビやバックモニターやドライブレコーダーのオプションとかを、ついでに、気軽に付けてしまう。

ヒット曲は、売れる前にわかる

ある実験結果から、ヒット曲は売れる前にわかることが証明された。
ミュージシャンの未発表曲を聞かせ、脳の状態を計測した。
試聴後に、その曲が好きかどうかのアンケートで調査した。

実験から3年後、楽曲の売上数と計測しておいた脳データ、アンケート結果を比較した。
” 脳が快感を得るときの反応 “ が大きいほど、” 売上数 ” も多かった。
ちなみに、” アンケートの結果 ” ” 売上数 ” は関係がなかった。

アンケートでは、わからなかった市場での売り上げ予測が脳計測でできた

脳が快感を得る時の音楽のデータを大量に集めて、音楽のデータを学習させたAIを作ると、以下のことが可能になる。

  • そのAIに新しい曲を作らせると、ヒット曲ができる。
  • 人が作った曲を、そのAIに判断させると、ヒットするかどうかがわかる。

10年後には、AIが作った曲を聞いて楽しみ
20年後には、無人のステージにAIのサウンドと、AIのフリートークとコール&レスポンスというフェスが開催されているかもしれない。

<参考>
脳科学がビジネスを変える

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