知のサクラダファミリア

湯浅

知のサクラダファミリア

2022/2/24

「 なんで 」って聞かれて、答えられないのが、私たちが小さな頃から身に付けた文化であり、自然と持っている文化である。文化は伝統という綺麗な言葉で言い換えることはできる。私たちは、文化や伝統を疑うことをしない。その言葉に惑わされている。

様々な文化

  • 年上は敬わなければならない。
  • 敬語を使わなければならない。

英語に丁寧な言葉使いはあっても、敬語はない。
ある社会では、子どもが自立したら、父親のことは名前で呼び、対等な立場となる。

儒教

天皇に対する神格性

  • 天皇の誕生日は、国民の休日
  • 天皇家だけに使う、独特の敬語がある

神道

  • 仏壇
  • 墓参り
  • お盆
  • お彼岸

仏教

日本文化の特徴

日本人は、輸入した文化を自国の文化と混ぜて、進歩させるのが得意である。
  • 中国からラーメン
    味噌、豚骨、醤油、塩、豚骨醤油、汁なし坦々麺、油そば
  • イタリアからパスタ
    ナポリタン、ウニクリームパスタ、明太子パスタ、タラコパスタ
  • 神仏習合
    中国からの仏教と日本の神道の組合せ
【 宗教の詰め合わせパック 】
初詣、七福神巡り、お彼岸、七夕、お盆、ハロウィン、クリスマス
大安に教会で挙式
初節句、七五三、厄除け、葬式、お経、初七日、四九日

文化という概念

私たちは、目の前にある当たり前を疑うことをしない。
当たり前は、当然だから、疑うことすら思いつかないから、当たり前なのだ。

私たちは、普段、空気を意識しない。空気があるのは、当たり前だからだ。空気を「 もったいない 」と感じない。空気は「 どこにでもあって、減らない 」と信じている。プールや海で、水の中で、初めて空気を意識する。でも、そういった非日常の中でしか、空気の存在を知覚することはない。

空気は、見えない。だから、私たちは、知識によって、空気という概念を理解する。

文化も見えない。

だから、文化も、知識によって、身に付けた概念でしかない。

文化を知るためには?

空気にとっての水、空気を意識するために必要な水とは、文化では何か?

2軸ある。
異国
時間

異国

自分とは違う世界である。非日常の自国の文化が存在しない世界である。海外である。

私たち日本人の当たり前が、当たり前でない世界へ身を置くことだ。自分の当たり前が、日本人の当たり前であることに気付く。飛行機を降りた瞬間に、空気が違う。アジアはアジアの空気で、ヨーロッパはヨーロッパの空気で、アメリカはアメリカの空気なのだ。目に見えない、だけど、空気を感じる、日本とは違う空気を感じる。

私は、飛行機を降りる瞬間が、これからこの国で、起こりうるすべてを期待して一歩を踏み出す、この瞬間に極上の喜びを感じる。海外の空気が、自分に流れ込んで、「 日本と違う 」と感じたときのワクワクは、何にも変えがたい幸福感がある。
この国は、私を知る人がいない。私は、日本人の目を気にしなくていい。私は、この国では、この国の常識を知らない外国人である。私は、自由なのだ。

時間

時間とは、一様に流れていて、止めたり、巻き戻したりできない。

時間が変われば、時代が変われば、文化も変わる。私たちが「 当たり前だ 」と思っていることは、今という時間の中でしか通用しない。

日本の歴史的名作、日本の一万円札の顔、福沢諭吉の『 学問のススメ 』
当時3,480千万人の人口のうち10%である340万人に売れたベストセラー
今だと1,200万部越えの本
子どもから老人まで含めて、日本人の10人に1人が買った本

「 文字が読める人は全員買った 」と言っても言い過ぎではないだろう。
今でこそ、識字率は100%だが、当時は、男性で50%女性は30%といった社会なのだ。

そういう時代、そういう文化だったのだ。

『 学問のすすめ 』で有名なフレーズ
「 天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず 」は、
学問のすすめを読んだことがなくても、知っている人も多いだろう。

これは「 平等を謳った言葉だ 」と思っているかもしれないが、そんなことはない。人間は平等ではない。

  • 貧乏で餓死する人もいる。
  • 娘を売る人もいる。
  • 金持ちで働いていない人もいる。
  • 女を、はべらせて、遊んでいる人もいる。

人間は平等でないのだから、勉強しよう。勉強したら、貧乏から脱出できるよ。だから、勉強して、慶應へ行こう。福沢諭吉は、慶應の創立者である。学問のすすめは、慶應の宣伝本である。日本で初のマーケティングの本である。

学問のすすめは、学歴社会という文化を生んだ。

その当時の庶民の仕事は大半が農業だったのだ。農業に学歴は不要で、子どもが家の農業を手伝うのが当たり前の時代である。日本は「 働かざる者食うべからず 」というキラーフレーズがある社会なのだ。

同じ日本でも、時代によって、文化は異なる。

知のサクラダファミリア

異国の地へ自分が足を運ぶこと、歴史を学ぶこと、自分の身を異文化に置くか、自分の頭の中に異文化を感じるか、そうやって、文化を知ることができる。私たちは、それを、教養があるという。

空気にとっての水は、文化にとっての教養である。

私は、何も知らない。教養が欲しい。でも、どんなにがんばっても、私1人では、すべての教養を身に付けることは、できない。それだけはわかっている。世界のすべてを知るには、人生はあまりにも短すぎる。1人じゃできない、みんなでならできる。私は1人では、無力な存在だ。でも、みんなの力があれば、きっと、成し遂げられる。

サクラダファミリアは、1人の力じゃ造れない。サクラダファミリアを造り始めた人は、その完成した姿を見ることができない。時代を超えた建造物がサクラダファミリアである。

私は「 知のサクラダファミリア 」を造りたい。私は人類の英知の結晶である本、すべての本を統合したい。私たち人類は、言葉を通して進歩してきた。言葉があるからこそ、他人と協力することができ、万物の霊長にまで上り詰めた。言葉こそが、私たちに与えられた、最大の武器である。

偉人たちが残した本には、偉人たちの言葉がある。それは、もう、大量にある。すべてを読むことはできない。でも、知りたい。

結局、何?
まとめると、何?
偉人が残し、伝えたかった言葉は、何?
私は、それを「 知のサクラダファミリア 」と呼ぶ。
日本人は空気人間
日本には、ルールはなく、空気があり、日本人は、空気を感じることができる。
【本要約】「超入門」空気の研究
【本要約】「超入門」空気の研究 2021/12/24 概要 昭和以前の人々は「その場の空気に左右されることを恥」と考えていた。 現代の日本では、空気はある種の絶対権威のように力を奮っている。 あらゆる論理や主張を超...
常識という空気に支配された社会
身体の機能が衰えて停止してしまう状態を死と言う。五感を使って体験できなくなることが死である。常識という空気が、この社会を死の世界へと変容させつつある。

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