【本要約】言語学講義
2022/5/11
歌は世に連れ、世は歌に連れ
人は生きている時代の影響を受ける。
人工知能と言語
人工知能が人間と同じ仕組みで知能を持つことは困難であり、現実的には必要ないかもしれない。
人間の言語能力は、規則通りでなくとも何度も見聞きするうちに取り込み、定着していく要素を含んでいる。「 頻度 」が高い用法や表現は、規則とは別に成立し、それがまた規則性を生み出す基盤にもなる。
「 今日は結構暑いよね 」という人に対しての応対
「 そうだね 」
「 窓を開けようか 」
「 エアコンをつけようか 」「 エアコンの設定温度を下げようか 」
「 冷たい麦茶でも飲む?」
「 明日も暑いらしいよ 」
「 そうだね 」
「 窓を開けようか 」
「 エアコンをつけようか 」「 エアコンの設定温度を下げようか 」
「 冷たい麦茶でも飲む?」
「 明日も暑いらしいよ 」
会話は、簡単なようで、それほど簡単ではない。
人間、特に大人が適切に判断できるのは「 周囲の状況などを踏まえた経験知 」「 感覚を踏まえた知識 」から推論ができるからである。
語彙や文法などの言語知識以外の知識や情報の集積を言語学では、百科事典的知識あるいは「 世界知識 」という。世界知識は、個々人で異なるが、共通している部分も多い。これには教科書などで学ぶ知識も含まれるが、現実社会で生活しながら経験したり見聞きしたたりしたことが基盤になっている。
この種の「 世界知識 」が人工知能の弱点だと言っていいだろう。「 疲れる 」「 痛い 」「 眠い 」「 うれしい 」のような感覚や感情が理解しにくい。しかし、これらはどういう状況や条件で生じるか、その感覚や感情が生起したらどういう状況になるのかを知識として一般化することはできる。
共同注意
共同注意
人間が言語習得以前から身につけている能力
人間が言語習得以前から身につけている能力
例えば、1歳くらいで子どもは単語一語だけからなる文を使うようになるが、養育者が見る方向を見ようとする行為は、生後数週間で観察される。このように「 同じものに視線を合わせて注意を共有しよう 」とする行為は共同注意の現れで、まだ言葉が使えない時期から獲得している能力である。
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