【本要約】心の安定について

【本要約】心の安定について

2021/4/12

人は旅を繰り返しても、満足できない。

人はあらゆることに耐え忍ぶことなどできない。苦労であれ、快楽であれ、自分自身であっても、そう長くは辛抱できない。

人選

人の選別は重要だ。その相手は、” 自分の人生の一部である時間 “ を捧げるのに値する人なのであろうか?

必要な人

  • 自分を認めてくれる人
  • 自分を否定してくれる人

仕事

自分の仕事に打ち込み、状況に応じて、閑暇(かんか)の中に避難する。

仕事において吟味すること

  • 自分自身
  • 自分の仕事の内容
  • その仕事を誰のために、誰と一緒にするか

仕事の選別と手法

  • 人は自分の能力を過大評価しがちなので、自分自身を正しく評価する。
  • 自分の持って生まれた才能にあった内容の仕事に就く。
  • 成果が得られる仕事をして、得られる成果に見合わない仕事はしない。
  • 仕事では、必ず、目的を設定して、目的に向かって仕事をする。
  • 目的に合わない不必要な仕事を見極めて、不必要な仕事をしない。
  • 出世にはキリがないので、自分の出世の上限を決めておき、運任せにしない。

賢者

たくさんのことをしていると、運命の力に翻弄されることが多くなる。これに対する対処法は、運命に身を任せることを避け、運命に用心し、運命を信頼しない。

賢者は、自分を深く信頼していて、運命を恐れない。

賢者は、財産や所有物や社会的地位だけでなく、自分や目や手や足のような、生きるために必要な身体の一部され、否、自己そのものですら、それが、自分に貸し与えられたモノであるかのように生きている。

賢者は、自分が自分のモノでないと知っているからといって、自分が無価値だとは考えない。

賢者には、全てが望んだ通りに起こるのではなく、考えた通りに起こる。だから、賢者が真っ先に考えるのは、自分の計画が、何かに妨げられる可能性なのだ。「絶対に成功する」という確信を持たないから、望みを捨てるときに、感じる心の痛みも、より軽くなる。

母胎に宿されたときに、自分の死の定めを知った者は、その定めに従順に生きるだろう。そして、いかなる出来事も、予測不可能なモノはないことを示してくれるだろう。起こりうる全てのことを、現実に起こるものと想定して用心する。そうやって、全ての災いの打撃を和らげる。

「誰かに起こりうることは、誰にでも起こりうる」

金銭

死、病気、不安、欲望、痛み、苦しみよりも、金銭がもたらす害悪の方が、はるかに厄介である。金銭を持たない方が、金銭を失うよりも、苦痛が少ないのである。貧乏な方が失うものが少ない分、苦しみも少ない。

倹約を続けていれば、ほどほどの財産でも満足できる。倹約なしには、財産を築くことはできず、満足もできない。

欲望

欲望を完全に封じ込めることはできない。だから、遠くの欲望を追い求めるのではなく、身近にある欲望を求める。手に入れるのが難しいモノを諦め、手に入れやすいモノを手に入れる。

モノゴトの価値を、見た目ではなく、内実で評価する習慣をつける。食べ物は飢えを凌げるモノでいい。飲み物は、渇きを凌げるモノでいい。欲求は、必要なモノだけを満たせばいい。

幸運の中ではなく、自分の中に富を探し求める術を学ぶ。

慣れ

人生のどんな局面でも、慣れが、耐える術を教えてくれる。そして、そこに、慰め、気晴らし、楽しみを見出すことができる。

自然は人がどんな苦しみを背負って生まれてくるかを知っている。だから、損害を和らげる手段として、慣れというモノを作り出し、極めて過酷な災難にも、すぐに馴染ませてくれる。実際、逆境の最初の衝撃が、永続するなら、耐えることはできない。

人は皆、運命の鎖に縛られている。何かしらの鎖に縛られている。だから、自分の境遇に慣れることだ。

変容

心を柔軟にして、自分が決めた計画に、過度に固執しない。不足の事態が生じて、取り巻く状況が変化するなら、それに身を任せればいい。計画や状況が変化していくのを、恐れてはならない。

一つのことに拘り続ければ、必ずや、不安で悲惨な状態に陥るだろう。拘り続ければ、運命に何かをもぎ取られてしまう。

全く変われないことも、全く辛抱できないことも、どちらも心の安定の敵である。

心のあり方

死への恐怖の乗り越えかたは、死への興味である。死からも学ぼうとする姿勢である。

人は、何事も軽くみるようにし、心を楽にして、物事に耐えるべきである。人生を嘆き悲しむより、笑い飛ばした方が人間的である。

自分を飾らす率直に生き、孤独と社会とのつながりを、上手く繋ぎ合わせて、交互に入れ替える。

精神は、同じ緊張状態ではなく、時に気晴らしも必要である。精神に息抜きを与えると、休息すれば、精神は回復し、元気が蘇る。娯楽は楽しいが、その欲求は強いから、気を付けなければならない。娯楽ばかりでは人生が堕落してしまう。

酩酊するまで呑まなければならない時もあるが、酒浸りになってはいけない。嗜む程度が良い。酒は憂いを洗い流してくれる。精神の最も深い部分を揺り動かしてくれる。悲しみも癒してくれる。酒は、習慣にならないようにすべきだ。

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