【本要約】武器としての交渉思考

【本要約】武器としての交渉思考

2021/10/10

交渉

序章

世の中を動かすためには、自分ひとりの力じゃとても足りない。共に戦う仲間を探し出さなければならない。そして、彼らを味方にし、ときには、敵対する相手や、自分たちよりもはるかに巨大な力を持つ大人とも交渉によって合意を結ぶ。そうやって初めて世の中を動かしていくことができる。そう、交渉こそが、今の君たちに必要な武器なのだ。

キーワード
・時代の変化
・仲間
・同盟
・革命

トップダウン型の組織は、状況の変化に機敏に対応できず、あらゆる組織で通用しなくなっている。

・社会 ( マーケット ) のニーズ
・労働者のニーズ
・会社のニーズ

これらのニーズをマッチングさせて、うまくバランスを取ることが、ベンチャー企業の組織経営である。

暗記して知識を付けるといった、誰でもできることに価値はない。誰でもできることしかできない人材は、今の時代には、確実に買い叩かれる運命にある。思考力や洞察力や想像力を育む必要がある。

教育 ( education ) という言葉は、ラテン語で、「引き出す」という意味 ( educere ) が語源である。上の立場の人間の考えを「押し付ける」ことでも、正解を「詰め込む」ことでもなく、「相手から思考力や洞察力や想像力を引き出す」ことこそが、教育本来の姿である。

契約

人類史には、人々が集まって、話し合い、合意して秩序を作り出す社会のあり方には、2000年以上の歴史がある。

私たちが、今、生きる社会の基本となる国家や政府というモノの仕組みも「みんなが契約して合意のもとに作られた」と考えられている。みんなが「契約を守ろう」と約束することで社会が健全に回っていくことが、民主主義に基づく近代国家の基本理念である。

  • 契約は守らなけばペナルティが科される。
  • 契約とは必ず個人にとって「自由を束縛するモノ」になる。

お互いに自由を束縛するのはなぜか?

  • 全員が完全に自由になると、他者の自由と衝突するために、かえって不自由になる。
  • 束縛する契約 ( ルール ) は、他者との合意に基づいて決めなければならない。

みんなが自由に生きるためには、必要最低限のルールを合意に基づいて決めて、各自が守っていく。そうすることで自由を最大化することができる。ルールは社会でいう法である。

「自由主義」と「法治主義」は、表裏一体の関係である。

交渉

自由になった人の相手との合意
・どういう場合ならば、自分は拘束されてもいいのか
・どんな場合は、相手を拘束していいのか
  1. 社会の中で、真に自由であるためには、自分自身を拘束しなければならない。
  2. 自分の手で、新しい仕組みやルールを作って、自分を拘束する必要がある。
  3. 仕組みやルールを、相手との合意で、作り出す手段こそが、「交渉」である。

民主主義の社会は、人々が、交渉した結果である「合意に基づいた契約」を行うことで、秩序を生み出している。

今は、これまで日本を支えてきた「偉い人が作った仕組みやルール」が通用しなくなってきている、崩壊はしないまでも、機能不全を起こしている。

若者が「世の中を変えよう」と立ち上がるだけでは、決して社会は動かせない。革命を起こすには、大きな権力を握る大人と対等に交渉して、合意を結び、具体的なアクションにつなげていかねばならない。

今の日本は、地縁や血縁や会社の社縁でつながった古いタイプの組織が瓦解して、新しい組織や新しいルールを自分たちで作っていく社会に変化していく初期段階にある。

ロマンとソロバン

  1. 2人以上の人間が集まったら、必ず交渉の必要が出てくる。
  2. ビジネスは、自分の会社の外部にいる人や企業と折衝し、交渉して、合意を結ぶことの繰り返しである。
  3. 今後、付加価値を持つビジネスは、すべて交渉を伴うものになる。AIで代替できない仕事が交渉である。

ロマンとソロバン

交渉にはロマンとソロバンという側面がある。
  • ロマン
    人が抱く夢やビジョン・成し遂げたい未来の目標や野心のこと
  • ソロバン
    ロマンを達成するために必要となる手間・労力や時間や金銭のこと

具体的に交渉を行っていくときには、この「ロマンとソロバンの両方を考えること」が不可欠である。交渉とは、複数の人間が話し合い、合意を結ぶことで現実を動かしていくためだ。

  1. すべての現実の変革は「初めにロマンありき」で始まる。
  2. そして、夢や目標の実現には「ロマン」だけでなく、それを実現するための「ソロバン ( 人・モノ・時間 ) 」といったモノのコスト計算が必要になる。
複数の人が集まってひとつの目標に進むときは、大きなビジョン ( ロマン ) と、実現のためのコスト計算 ( ソロバン ) の両方が必要になる。
交渉とは、前提となるルールそのものを変えていくゲームである。

将棋で、「歩が横にも進めるようにしよう」と、駒の進め方自体も相手との合意で変えられるのが交渉である。

そんなゲームに勝つためには、既存の常識や枠から飛び出して、無から有を生み出すような、ある種のひらめきが必要となる。

企業の存在理由は、社会に対してモノやサービスなど、なんらかの「価値」を提供することで、その事業を継続するための「利益」を出すことが絶対に必要となる。

お金

お金は、万能のツールでないが、資本主義で生きる上では「自由の範囲」が変わる。

「恒産なければ恒心なし」
孟子
経済的な安定がなければ精神的に安心できない。

お金がなければ、生きるための目先のことしか考えられなくなってしまう。

「コレをやりたい」と感じたときに、それをやる自由を手に入れるためにも、十分なお金を得ることが大切である。

お金がなければ、企業活動に必要な「人・モノ・情報」というリソースを集めることができない。

資本主義社会では「より安いコストでみんなが欲しがるモノ」を作れた人のところに、お金が集まる仕組みになっている。

資本主義社会において

  • お金儲けは「自分たちのやっている事業が、人々に支持されているかどうか」の大きな指標となる。
  • 「いくらで何ができるのか」と値段を示し、具体的にメリットを実感できるコトに、人はお金を払う。

ソロバンという前提

起業に必要な視点
・商品やサービスが、いつか多くの人に必要とされる日が来るか ( 長期的なロマン )
・事業がスタートしてから、キチンとビジネスとして回っていくか ( 短期的なソロバン )
ロマンは長期的で抽象的でも構わないが、ソロバンは短期的に具体的な結果が必要になる。

「Googleは、世の中のすべての情報を体系化し、誰もが検索できるようにする」というロマンがあって、「アドワーズ」という広告収入のソロバンを持ち合わせていた。

投資家の質問
・どうやって世界を変えるの?
・どうやって儲けるの?

ロマンだけではなく「その商品・サービスを誰が買っていくら儲かるのか」を説明できなければならない。

相手が儲からない商売は成り立たない、まずは、顧客を儲けさせる、その先にいる消費者を儲けさせる。客が儲かればお金は後から付いてくる。

ロマンだけの仕事は、認知的不協和をもたらす。

①人は報酬が得られない仕事をやることに耐えられない。
②だから、自分で、「この仕事には意味がある」と思い込むことで、「精神的にバランスを取ろう」とする。認知的不協和の解消である。
③一度、認知的不協和が生じてしまうと、明らかに誤った方向に進んでいたとしても、「修正しよう」という考えや行動が生まれてこないことも、大きな問題である。

夢や理念が、問題の本質から、目を逸らさせてしまう。

交渉と相手

自分の立場ではなく、相手の利害に焦点を当てる。
  • 交渉とは、立場が異なり自由に意思決定できる二者が合意を目指してやり取りするコミュニケーションである。
  • 交渉には、意思決定権を持った相手が必ず存在する。

交渉のベースは「自己の利益を最大化しよう」とする合理的な個人同士の交渉である。しかし、現実の世界の人間は、ロボットみたいに正確にモノゴトを考えることもできなければ、極めて感情的で、非合理的に振る舞う存在である。

  • 相手に交渉のテーブルに付いてもらうためには、「自分の立場を理解してもらう」ことより、「相手の立場を理解する」ことの方が大切である。
  • 「自分が困っているからどうにかして」ではなく「あなたがこうすると得しますよね」という提案をするべきだ。相手側にいかにメリットのある提案できるか。
自己紹介をするのは、自分を理解してもらうためではなく、相手が求める情報を提示するためだ。
オレンジをめぐる交渉
① オレンジひとつがあって姉妹は「オレンジがひとつ分欲しい」と言い争っている。
② 両者ともにひとつ分必要という2人の主張は叶えられて、交渉は終結している。
③ オレンジの中身と皮を分け合った。( 皮が欲しいのはマーマレードを作りたかったから )

利害関係が、一見、完全にぶつかりあっているように見える問題でも、相手と自分、双方の利害を分析してみると、うまく両者のニーズを満たす答えが出てくることがある。

「どれだけ相手の主張を聞けるか」の勝負となる。交渉は、自分の意見を言うよりも、相手の言い分を聞いて、相手が求めるモノや、交渉が決裂したときに失うモノを冷静に分析することが大切である。

交渉において最重要なのは「相手の利害に焦点を当てる」ということだ。

バトナは最強の武器

交渉において、いちばん初めにやることは、「複数の選択肢を持つ」ということである。

相手の提案に合意する以外での選択肢の中で、1番良いものをバトナという。

バトナ
目の前の交渉相手と合意する以外に、いくつかの選択肢があったときに、交渉相手に「私はあなたと合意しなくても別の良い選択肢があるので、それよりも良い条件でなければ合意しない」と宣言できる他の選択肢である。

バトナとして良いものがあれば、目の前の人と必ずしも合意する必要はないので、交渉上、強い立場になれる。逆に、バトナが悪い、または、バトナがない場合は、「例え条件が悪くても相手と合意する方が決裂するよりはいい」ということになるので、交渉上、立場は弱くなる。合理的な交渉の基本である。

交渉とは、その交渉が決裂したとき、自分と相手側に、「それぞれ他にどんな選択肢があるのか?」「その選択によって何が手に入るのか?」で決まる。

相手側の選択肢、バトナを分析するためには、具体的に何をすればいいのか?

  1. ますは「この交渉が決裂したらどうなるか?」を考えることだ。
    論理的に考えることで、相手側の選択肢を分析できる。
  2. 分析できたら、その結果を相手にぶつける。
    「あなたはこちらの提案に乗らなかった場合、こういう選択肢がありますよね。しかし、その選択よりも私の提案の方があなたにとって有利ですよね」と提示する。
バトナの提示
バトナが正しければ合意に向かうし、バトナが間違っていれば、新たな情報を入手することができる。
交渉というのは、結局、情報を集めるだけの勝負である。
  • 交渉というコミュニケーションの利点は、相手に直接聞いて情報を集めることができることだ。
  • 交渉においては、自分の本当のバトナを相手に悟らせてはいけない。
  • 「相手に自分のバトナがどう認識されているか」を把握し、コントロールすることも重要である。
  • 相手が自身のバトナを理解していないときは、わかりやすく相手のバトナを提示してあげることで、交渉を進めることができる。
交渉が合意に至った時点でwin-winである。
win-winは、どちらかのビッグwinは、もう一方のスモールwinである。

交渉にあたるときには「自分のことだ」と思わずに「代理人として交渉を頼まれた」とマインドを切り替える。自分は代理人で、弁護人のように、依頼人に雇われて交渉している。就職活動でも「企業が求めるタイプの役をやっているだけだ」と考えることだ。
自分の中で「交渉する人」「分析する人」「意思決定する人」と分けて考える。

相手の話しを聞いて、冷静に分析して、「ゲームのように有効なカードを切れる人の方が強い」というのが、交渉の常識である。

アンカリングと譲歩

アンカリング

アンカリング
最初の提示条件によって、相手の認識をコントロールすること
交渉は「どこからスタートするか」によって結果が全く違ってくる。

交渉は、最初のアンカリングによって決まる。

  • 自分から提案するときは、相手をアンカリングして、優位に交渉を勧める。
  • 相手から提案を受けたときは「アンカリングではないか」と疑う。

アンカリングは、高い目標でありつつ、現実的で、相手が受け入れる可能性があるものでなければならない。

交渉による譲歩
①無条件の譲歩は絶対にしない。
②「相手にとっては価値が高いが、自分にとっては価値が低い条件」を譲歩の対象とする。
③いろんな条件付き譲歩を提示することで、相手側の判断基準を知る。
相手からの譲歩
①譲歩には即座に受諾せずに「考えさせてください」と言う。
②すると、相手がさらなる譲歩を引き出してくることがあるから、譲歩の背景を分析する。
③譲歩をしたこと自体が、一つのメッセージであり、情報になる。
④相手側は、その譲歩によって、こちら側にどんな行動を期待しているのか、相手の頭の中を想像することである。

交渉中の思考

  • 交渉相手を、対立する敵と捉えるのではなく、ある意味で「共に同じパズルを解いている仲間」と考えてみる。
    このときの仲間意識が、後々に大きな意味を持つことになることもある。
  • ゼロイチ思考に陥ると「お互いにとってプラスとなる結果を生み出す」という方向に交渉を持っていくのが難しくなる。
  • 自分にとっては重要度は低いが、相手にとっては高い争点を譲歩したり、逆に、自分にとっては重要度は高いが、相手にとっては低い争点を譲歩してもらうように提案したりすることで、お互いにとっての目的を達成できる道を探る。

譲歩

交渉では「相手がどういった立場の人間で何を求めているのか」ということが極めて重要な意味を持つ。

相手の関心分野を考えながら、相手に合わせて提案や譲歩を行わなければならない。

「ビジネスの交渉はすべて相手会社の経済効率に基づく」と思いがちであるが、現場の担当者レベルの場合は、自社の利益よりも「自分個人にとってメリットがあるかどうか」が判断基準となることも多い。

同じ人でも、置かれている状況によって判断が大きく変化する。

場合によっては、直接の交渉相手の利害・争点だけでなく、その背後にいる人たちを「大人の事情」を予測する。

非合理な人間との交渉

非合理な人間とどう向き合うか?

人間には合理的な面と共に非合理的な一面もあるから「非合理な人間との交渉」について学ぶことにも大きな意味がある。すると「自分自身が非合理な交渉者になっていないかどうか」をチェックすることができるようになる。非合理な交渉をパターン化して、理解することで、「自分の行動が非合理的になっていないか」を客観的に分析できるようになる。

相手が非合理であっても「合意を結べるか否か」が重要だ。

不合理な人間
価値理解と共感を求める人
信頼関係を重視する人
自律的決定に拘る人
自己重要感を大切にしている人
ランク主義の人
動物的な反応をする人

価値理解と共感を求める人

合理的ではない相手と交渉するときには、相手の価値観に合わせなければならない。

交渉は「話しを聞く」ことが重要だ。

  1. 相手の大切にしている価値観を把握するために、相手に話しをさせる。
  2. 人の価値観とは固有のモノであり、それを他人が変えることはできないから、認めるしかない。
  3. 自分の価値観と距離がある相手でも、「相手の価値観には相手なりの理由がある」ということを理解して交渉の場に望み、それを前提として作戦を立てる。
  4. 交渉相手も「自分の価値観に共感しようとしているな」という態度はわかる。
人は、「自分と価値観が違う相手=よそもの」に対して敵意を抱く。
よそものに対する敵意を外部の人に向けることで、相手と同盟・共犯関係を結ぶことができる。

信頼関係を重視する人

信頼関係を生み出すことを「ラポールを築く」と言う。

■ラポールの形成方法

① 好意の返報性
どうしても信頼関係を築きたい人のことを心から好きになる。
そうすると、自然にそれが自分の態度に現れ、相手にも伝わり、相手も自分に好意を持つ。
9割のダメな部分ではなく、1割のいい部分にフォーカスする。

② スモールギフト
実際のギフトではなく、賞賛の言葉を送る。
クレーマーに「そんなことに気付いたのは、お客様が初めてです。素晴らしいですね。」と伝える。

③ 類似性による好意
・相手との共通点を見つけて話題にする
・相手の好む話し方で付き合う

④ 共同作業の時間を持つ
交渉のプロセスにおいて、わざと関係構築のための中間段階を設けることも役立つ。
「一緒にモノを運ぶ」といった簡単な作業でも、親近感を育むことができる。

自律的決定に拘る人

客観的に見たときに「自分の判断が正しいかどうか」よりも、「自分で決めた」ということに重きを置くタイプである。

相手が自分で判断するための材料を提供する。

  • リテラシーの高い人ほど、一つの物事に対してプラスとマイナスの情報を両面提示されることを好む。
  • リテラシーの低い人は、マイナス情報に過敏に反応するので、プラス情報を強調する。

自己重要感を大切にしている人

相手が自分のことを「より重く」「より大切に」扱ってくれることに拘る。交渉においては、すべての人に対して尊敬の念を持って丁寧に接することが大切である。

交渉相手の趣味嗜好を把握しておいて、それを満たすことで「相手は『自分のことを重要だ』と思ってくれている」と印象付けることができる。

自分の好きな人の好きなモノを覚えておいてプレゼントするような感覚である。

自分に対して「尊敬の念を持って接しているかどうか」は、相手はすぐ見抜く。

人間が本心で考えていることは、必ず何かしらの形で外に出る。

人間は 言語的なメッセージ よりも、非言語的なメッセージ の方に、より敏感に反応する。

交渉の最重要事項として「反応速度を速くする」ということも大切になってくる。どんなに忙しくても、すぐに反応し、逐一対応する、頻繁に連絡する。

ランク主義の人

名詞の肩書きを見て相手のランクを把握し、対応を決める。ランクに対して、反感・コンプレックス・敵対心を持つ。

相手を立てる。

  • 「現場のことが分からないので、いろいろ助けて下さい」
  • 「頭でっかちになりがちで、そんな自分を変えたいと思っているので、ご指導下さい」
人は、相手をレベルではなく、ラベルで判断する。

動物的な反応をする人

人間も動物の一種なので、動物的な生理現象で、行動する。

動物的反応がネガティブに働いているとき、相手側の感情的な反応には付き合わないのが鉄則である。

非合理な人間の対処方法

交渉の現場では、非合理な理由で意思決定が左右されることは珍しくないどころか多い。

一見すると自分のロジックが全く通じない相手でも、その人の行動原理を見通すことで、交渉可能な相手になる。

相手を分析することが、合理的・非合理的な交渉を問わずに、重要である。

■交渉において注意する3点

①アウトプット
「交渉のゴール = 合意条件」を明確にしておく。打合せごとの小さな目標を設定して、目標に沿った、議論をする。

②ドレスコード
いつでもスーツではなく、相手に合わせた服装をする。
・交渉の時は、赤いネクタイで、情熱的で自信があるイメージを相手に与える。
・買収するときは、ヨレヨレの安いスーツで、お金がないイメージを相手に与える。
そこまで注意する人がいないからこそ、差が付く。

③言葉
人が、どんな言葉を、使うかによって、相手は「自分たちの仲間だ」とも思うし「自分とは違う世界の人間だ」とも思う。

交渉がネガティブな方向へ行くようなNGワードを予め禁止しておく。

自分自身の宿題

交渉は、断られてからが勝負である。
  1. 「相手が面倒だな」と思っていることを、相手の仕事を「自分が代行する」ことで、こちらの提案を受け入れやすくする。
  2. 「相手のできない」を自分の具体的な行動によって、合理的に潰していくことで、状況を打開できる。
  3. 交渉合意の熱意は口頭だけではなく行動である。
具体的な行動によって人の心は動く。
人は行動を信用する。

行動を見た人が、その裏にあるロマンを感じ取り「こいつは本気だ」と思う。

交渉において、最後に人を動かすのは、ロマンである。
掲げているビジョンが社会にとって大きな意義のあるモノであり、そのビジョンを実行できるだけの力を持っている熱意が伝われば、人を動かすことができる。

世の中で本当に強い力を持っている人々は、経済的に成功しているので、「自分が得するかどうか」よりも、「世の中が良くなるかどうか」を価値判断基準に置く。

今、自分たちがやろうとしていることが、後から振り返ったときに、多くの人の感動を呼ぶドラマになるのか?
  • 人は誰でも「自分が生きる現実の世界のドラマで感動したい」と思っている。
  • できうるならば「自分もそのドラマの登場人物になってみたい」と思っている。
言葉こそ、最大の武器である。

「オバマはスピーチが、うまいだけで大統領になった」と言う人がいるが、実際は「言葉に力がある」ということは、「アメリカの大統領選になれるほどの力となる」ということだ。

もし、本気で「世の中を変える力を身に付けたい」と思うならば、まず、言葉を磨くことだ。

交渉はネットワークを生み出す行為である。私たちは、毎日、いろんな人と小さな交渉をしながら生きている。その小さな交渉の結果、新たにつながった人間同士のネットワークは、必ず、世の中全体のネットワークとつながっている。

本当に社会や組織を動かしたいならば、まず「自分が変えたい」と思う社会や組織のネットワーク構造を知ることだ。

地上には最初から道があるわけではない。多くの人が歩けば、そこが道になるのだ
魯迅

交渉によって築かれたネットワークは、後に多くの人が歩く道を作る行為である。

Do your homework
ジム・ロジャース

「今」という時代は、一人一人の人間がそれぞれの現場で、自分の宿題を見つけて取り組むべきときを迎えている。

自分を変えるキッカケも、世の中を変えるキッカケも、最初は常に小さな一歩に過ぎない。
その一歩を踏み出す勇気を持って、今、この場から、宿題を見つけに行こう。

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