【本要約】武士道

【本要約】武士道

2022/3/5

武士道とは?

新渡戸稲造が、海外に留学中に
「 日本の学校には宗教教育がない 」
と言うと
「 自国の学校では、子どもたちに善悪の基準を教育するが、その道徳感の基礎にはキリスト教という宗教教育がある。宗教がないなら、日本人は何をベースに子孫に道徳教育を授けるのか?」
と質問され、愕然とする。

「 母国の道徳感について答えられない 」という事実である。

自分を振り返っても、道徳は学校で習っていない。

・挨拶をしなさい
・家族を大切にしなさい
・弱い者いじめはよくない

国教のない日本で善悪の観念を授けた宗教以外のものとは、何か?

日本人の道徳感は、日本人のモノの考え方の基本は、何か?

武士道という道徳教育
という答えに辿り着いた。

武士道とは、武家社会での行動様式である。
武士だけではなく、庶民にも浸透し、やがて、大和魂・日本人の魂となっていった。

武士にとっては「 贅沢は人格に影響を与える最も恐るべきものだ 」と考えられていた。

武士の魂である刀は「 どんなに貧困になっても、飢え死にしても売るわけにはいかない 」とされていた。

【 武士道の道徳律 】





名誉


武士道の中心となる良心の掟、人間としての正しい道・正義・義を貫く。
武士道の基本は、フェアプレイの精神である。

「 敵に塩を送る 」
例え、敵でも、困っている相手には手を差し伸べるのが武士である。

義は、体に例えるならば骨である。骨がなければ首も正しく胴体の上につかず、手も足も動かない。
才能や学問があっても、義の精神がなければ武士ではない。

武士は銭勘定を嫌った、銭勘定は損得を追求する行為だからだ。
商売は商人に任せて、上位の身分である武士たちは、人々の模範となる生き方を追求した。
打算や損得から離れ「 自分が正しい 」と信じる道を貫くことが武士の正しい姿とされた。


義を貫くための勇気である。
勇気とは正しいことを実行することである。
孔子、論語
勇気とは恐るべきべきこととそうでないことがわかること
プラトン
本当の勇気とは、生きるべきときに生き、死ぬべきときに死ぬことである。
徳川光圀

武士にとって犬死は、つまらない行為だが「 自分が間違い 」と思うことに対しては、躊躇うことなく、命をかけて戦わなければならなかった。

義をみてせざるは勇なきなり
勇とは勇気、正義を敢然と貫く実行力である。

勇を全うするためには肉体的強さが不可欠であった。自分より強そうな暴漢に怯えて実行できなければ無意味である。武士たちは精神修行と同時に肉体を鍛え、武術の鍛錬を怠らなかった。武士たちは、文武両道を追求していた。


人間としての思いやり、他者への憐れみの心のことである。
弱き者や負けた者を見捨てない心である。

武士の情けには、仁が内在している。

高潔で厳格な義と勇を男性的な徳とするならば、仁は女性的な優しさ、母のような徳である。

義に過ぐれば固くなる
仁に過ぐれば弱くなる
伊達政宗

義に偏ると厳し過ぎ、仁に偏ると甘過ぎる。
義と仁のバランスが大事である。

仁の精神は、人の上に立つ者の必須徳目である。
他者への思いやりを忘れてはならない。


仁の精神を育て、他者の気持ちを尊重することから生まれる謙虚さ

礼とは他者に対する優しさを型として表現したものである。

礼儀作法は、心で肉体をコントロールし、心を磨く。

自分を生んだものは父母である。
自分を人たらしめるものは教師である。
教師への尊敬は生涯続き、教師への不便は自分が肩代わりするのが、武士である。


言ったことを成すこと

武士に二言なし、武士にとって嘘を付くことや誤魔化しは臆病な行為とみなされた。

武士は銭勘定を嫌い、誠の精神に基づいて、「 富の道は名誉の道ではない 」とした。

名誉

名誉
自分に恥じない高潔な生き方を守ることである。

金よりも名誉を重んじた。
自分の家族の生活よりも、武士の誇り、名誉であった。
名誉の観念は、裏を返せば、恥を知ることである。
武士は幼少の頃に、まず羞恥心を教育した。
「 人に笑われるぞ 」

恥は道徳意識の基本であった。

負けるが勝ち
戦わずして勝つ、血を見ない勝利こそ、最善の勝利
武士の究極の理想は、平和である。

武士道における名誉とは、名を尊び、自分に恥じない高潔な生き方を貫くことである。

武士は「 どう美しく死ぬか 」を追求したが、それは同時に「 何のために生きるか 」という哲学に帰着する。

これまでの徳目は儒教思想に基づき、すべての人に当てはまる。

忠義

忠義は、武士唯一の特殊な徳目である。
忠義とは、主君に対する絶対的な従順のことである。

その本質は、日本の封建社会が生み出した政治理念のようだが、武士道は異なる。

武士たちは、あくまで己の正義に値するものに対して忠義を誓った。
忠義とは強制ではなく自発的なものである。

[別添]武士道の3つの源泉

・儒教
道徳的な教義 ( 孔子・孟子の教え )
知行合一 ( 王陽明の教え )

・仏教
運命に抗わない危機や惨禍でも平常心
生に執着しない

・神道
主君に対する忠誠
祖先に対する鼠径
親への孝行

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