知らない正しさ、知らない幸福
2021/9/25
知らない正しさ
蛾と蝶の違いは?
そう聞かれて、それを説明できる人は、ごく僅かだろう。
フランス人に、同じ質問をしたら?
フランス語には、蛾と蝶を区別する言葉がそもそも存在しない。だから、質問自体が、適切でない。
「バナナは、木からなる」と思っていた。
バナナは、草からなる。
木っぽいけど、あれ茎らしい。
イルカとクジラの違いは?
サイズである、4m以上がクジラ
私たちは、知らない。
言葉の壁や、見た目のイメージや、知識によって、知らないことを知る。
私たちは、知らない。
知らないことを知ることは難しい。知らないのだから。だけど、知らないことがあることを理解しておくことは簡単だ。
私たちは、知らないことだらけなのだ。
世界のことをほとんど知らない。
私たちは知らないし、わからないことに囲まれて生きている。
自分が知らないことを認知しておく。
『出版禁止』という本で「素数ゼミ」の話しを読んだ。
進化の過程っておもしろいし、進化系は現存によってその正しさを証明している。
そうなのだ。
生物の進化の過程で、生き残ってきた希少種なのだ。ホモサピエンスという希少種で、万物の霊長たる人間なのだ。
進化の過程で、淘汰されずに生き残ってきた私たち人間は、進化の過程では、すべからく正しい。ここに存在していることが正しさの証明だ。
だからといって、道徳的に正しいわけでもないし、生き方が正しいわけでもない。
私たちは、存在としては正しいのに、その正しさをうまく享受できていない。
幸福足り得ない。
知らない幸福
私たちは社会性の生き物だから、他人を通してしか、自己を認識し得ない。他人との比較の中に、幸福があるわけがない。私たちの欲求には際限がないから、永遠の上昇志向である。そこに幸福などあるわけがない。
「幸福がない」と言えばない。
好きなときに日本食が食べられて美味しい。
こんな低価格で日本食が食べられるのは世界で、唯一、日本だけだ。
いつでも好きなときに好きなモノが買えて便利だ。
24時間営業のコンビニが至る所にあるのは世界で、唯一、日本だけだ。
湖から水を運んでいる、子どもだけじゃない、大人も水を運んでいる社会がある。
水がなければ、シャワーには入れない、歯磨きできない、トイレを流せない、料理ができない、洗濯もできない。
水道を捻れば、飲める安全な水が出るのは、世界で、唯一、日本だけだ。
電気があれば、スマホが充電できる、冷暖房を付けれる、夜でも明かりが灯せる。
途上国の田舎では、停電は日常だ。夜の停電は何もできない。WiFiのルーターも電気が必要だ。
家に帰って、安心して眠ることができるのは、家があるからだ。旅は移動の連続であるから、旅の中に安住はない。
私たちは、日本に住んでいるから、日本の幸福を感じることができないだけだ。日本を知っているようで、知らないだけだ。
世界は不便だ。
世界一便利な国が日本だ。
ただある。
ここにある。
ただ気付くだけだ。
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