【本要約】人はなぜ笑うのか
2021/10/8
笑いの起源
医学・生理学・心理学を合わせた総合的な立場からの笑いに迫る。
笑いの行為が複雑であるため、現在の知識や技術では明快な答えが得られそうにないことが、自然科学的な視点からの笑いの研究・解明が進んでいない理由だろう。
- 笑うのは、動物の中で、サルからヒトに至る霊長類である。
- 猿の笑いは「あいさつの笑い」が主である。
・快の表現としての「笑い」の表情
・快の感情に関係ない「笑い」の表情
・相手への攻撃のための「冷笑」の表情
いろいろな笑い
快の笑い
快の笑い=感情=本能的な笑い
①快楽の笑い
・快楽充足の笑い ( にっこり )
美味しいモノを食べたとき
・快楽予期の笑い ( ふっふっふっ・ニヤリ )
子ども:食べ物の写真
大人:性的な刺激、儲け話し
②おどろき・発見の笑い ( はっはっは )
・新しい刺激に驚き、緊張したときのように息をのむ。その刺激が愉快であることに気付き、安心してホッと息をはく。
この一連の心と体の反応ないし、動作自体が愉快でもあるので、繰り返す結果、断続的な笑いとなる。
・ジョークによる笑い、お笑い芸人の笑い。
この笑いは、記憶や予測・推理できるだけの知能が必要であり、人のみに可能な高等な笑いである。
③優越の笑い
・落語・漫才では、よく失敗する愚か者・慌てん坊・ケチで欲張りなどの欠点を持つ者が登場して、いろいろな失敗をして、聴衆は笑う。
④不調和の笑い
・喜劇では、武士が「太刀の鞘を払うと、小刀ほどの長さしかない木刀が出てきた」というような「期待外れ」の笑い。
・ボストン行きの切符を買うとき「to boston」と言うと、2枚の切符が出てきたという「意味の取り違え」の笑い
⑤価値逆転・低下の笑い
「我輩は猫である」では、本来人間より価値の低いと思われる猫が、人間を見下ろしてその愚かさを笑う点におもしろさがある。
社交上の笑い
⑥協調の笑い
・挨拶の微笑み、社交的な配慮
⑦防御の笑い
・他人に自分の心の内面を知られたくないときに、笑ってゴマかす。
⑧攻撃の笑い
・冷笑
⑨価値無化の笑い
・待ち合わせに遅れたときに、笑顔を作って、笑ってゴマかす。直前の都合の悪い出来事を価値なきモノにしようという笑い。
緊張緩和の笑い
⑩緊張状態から解放されたときの笑い
・ジェットコースター
笑いに伴って生じる身体的・内臓的活動が、その活動パターンに応じた感情経験を引き起こす。嬉しさだけでなく、それぞれの感情に特有の体と内臓の活動パターンがあり、そのパターンに対応した感情を経験する。
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